彼女は何をして欲しかったのだろうと、改めて陽歌は考えた。
昨日は感情的になって酷いこと言ってしまったけれど、元々悪いのは彼女との約束を忘れてしまった自分だ。
陽歌は心の中で茜に詫び、決意を固めた。
「拓巳、私、茜さんの私に託したもの見つけるよ。そして約束どおり願いを叶えてあげる」
「陽歌…いいのか? 辛い思いをするかもしれないぞ?」
「いいの。だって『今が辛いのは未来に為の必然』なんだって」
「なに?」
「あのね、あのころ毎日自分の境遇を悲観して泣き暮らしていた私に茜さんは教えてくれたの。『今はどんなに悲しくて辛くても、その経験はいつか幸せのための土台になる。人生における辛さや悲しみに決して無駄な物はないのよ』って。
あの頃は意味が解らなかったけれど、今は少しだけ解った気がするわ」
あの風景を見つけたのも偶然じゃない。
晃に出逢ったのも、今こうして拓巳といる事も、この先待っている運命に導かれているのだ。
この先に辛いことが待ち受けていても、それから逃げてしまっては決して幸せにはなれない。
陽歌の中にはそんな確信があった。



