互いに想いが強すぎる故に、すれ違ったときの傷は計り知れない。
この二人がどうか引き離されることのないようにと、神殿に向かって願いを掛けずにいられなかった。
「茜、雨が降りそうだ。
俺、ちょっと戻って傘をとって来るよ。
雨が当たらないところで待っててくれ。いいな?」
頷く茜に軽く手を挙げ、右京は鳥居を抜けていった。
独り残された茜は今にも泣き出しそうな鉛色の空を仰いで手を伸ばした。
大気は水を含み肌にしっとりと纏わりつく。
遠くでゴロゴロと唸る空は嵐が近いことを予感させた。
サラサラと木々が風にゆすられ優しい音が満ちる静かな境内には人の気配は無い。
心細くなった茜は、自分を抱きしめ、不安げに周囲を見回した。
その時、背後から玉砂利を踏みしめる音が聞こえた。
徐々に近づく足音に、右京が戻ってきたのだと思って振り返った。
「随分早かったのね、右京…っ」
そこにいたのは右京ではなく、気まずそうに茜を見ている晃だった。



