「茜は小さい時からあと何年ってリミットを受けながら生きてきたから、自分が誰かと恋愛したりそれ以上を望むなんて考えられなかったのよ。
でも晃君に出逢って愛し合うようになってからは、それまでは許されないと思っていたことを望むようになったの。
本当にささやかな願いよ。茜の作ったご飯を食べて、一緒に笑って、怒って、泣いて、抱き合って眠る。
目覚めたらあの娘の淹れたコーヒーを飲んでキスをする。
だたそれだけ…結婚なんて夢以前の事だったの」
茜の小さな幸せに胸が鷲づかみにされた。
「僕との結婚が嫌なわけではないんだね」
「クスクス、違うわよ。むしろ結婚しないとあの娘の本当の夢を全て叶える事はできないわね」
「…本当の夢? 花嫁になることがそうなんだろ?」
「近いけど少し補足が必要ね。
茜の夢はね、自分で作ったウェディングドレスを着てお嫁さんになること。
そして『おかあさん』になることなのよ」



