【長編】ホタルの住む森


コポコポとフラスコからロートへと湧き上がっていくコーヒーの粉を見つめながら、思いをめぐらす。

水が琥珀色の液体になって落ちてくる一連の過程が終わっても、晃は答えを見つけられずにいた。

蒼がフラスコの液体を真っ白な陶磁器に注ぎ込んでいく。

それを持ってリビングへ移動する時間が無性に早く感じられた。

どうやってもう少し時間を稼ごうかと思考をフル回転させながら、カップを受け取り口元へ運ぶ。
その香りと味の素晴らしさに思わず声が上がった。

「このコーヒー美味いな」

ホッとして先ほどまで強張っていた表情が緩む。

それを見て蒼が「そうでしょう?」と嬉しそうに微笑んだ。

「これは晃君の為のスペシャルブレンドだもの。茜が豆を調合して作ったの」

「茜が? こんな事出来るんだ。
凄い特技だな。もしかして夢ってカフェ経営とか?」

蒼が笑いながら首を横に振る。