「それにプロポーズを受けたのと、すぐに結婚式を挙げるのは話しが別でしょう?
どうして茜が戸惑うのが解らないかな?
大体、晃君、茜の夢って知ってる?」
「……茜の夢?」
「知らないの? それじゃ婚約者として失格ね。
茜を愛しているのと大切にしているのは違うわ。
今の晃君は愛しているという気持ちばかりが大きくて、大切なのは自分だわ。
玩具を独り占めしたくて駄々をこねている子どもと同じよ」
普段優しい蒼がこれほどまでにバッサリと切り込んでくるとは夢にも思わなかった為、晃は右京に殴られる以上のショックを受けていた。
茜は人見知りが激しい為、一見大人しく見えるが、本来の性格は蒼よりも短気で気が強い。
健康であればきっと行動的な女性だっただろう。
だから茜が家を飛び出しても、彼女の性格ならその行動は頷けた。
だが同じ双子でも蒼は違う。
持って生まれた本来の性格が茜よりおっとりとしており、普段の会話も優しい言葉を選ぶように話す。
その蒼がダイレクトに怒りを向ける物言いをしたのだ。
晃は冷水を浴びせられた気持ちになり、ようやく冷静さを取り戻し自分の愚かさを振り返った。



