その時、陽歌の思考を断ち切るように携帯が鳴った。
表示は拓巳だった。
躊躇っていると一旦切れ、また直ぐに鳴り始める。陽歌が出るまで何度でもかけてくるつもりなのだろう。
パンクしそうな頭で、更に拓巳の事まで考えられそうになかったが、無視を決め込むことはできそうになかった。
「もしもし、どうかしたの?」
『陽歌?おまえ一人でどこ行ってるんだよ』
「どこって…どこでもいいでしょう?」
『女の一人旅なんて危ないだろう?』
「どうして旅行って知ってるのよ」
拓巳には何も言わずに来たが別に付き合っているわけでもない。
有休はまだ1日目だし、風邪で休んだと思われても不思議ではないのに拓巳は事情を知っているようだ。
ゴメンと手を合わせて舌を出す亜里沙が浮かんだ。



