あれは恋愛感情などではなかった。
理由は分からないけれど、晃先生の奥さんの記憶が私の中にあって、晃先生に恋をしていると錯覚しているだけだったんだ。
もう忘れよう…。
この気持ちは私のものじゃない。
亡くなった人の感情に振り回される必要はない。
私は私の恋をすればいいんだ。
必死に言い聞かせてみても、晃を愛しいと思う気持ちは消える事無く、むしろ時間を追うごとに強くなっていく。
初めて聞いた声。初めて抱きしめられた腕。初めて触れた唇。
何もかもが初めてのはずなのに、陽歌は全てを知っていた。
それが嬉しいのか、哀しいのか、それすら混乱した頭では分からなかった。



