診療所のドアを開けると同時に、まるで待っていたかのように雨足が強くなった。
計ったようなタイミングに驚いて後ろを振り返ると、暁もまったく同じ仕草で振り返っていた。
それが可笑しくて顔を見合わせると、その仕草がまた同じだった為、二人で同時に噴き出してしまった。
屈託無く笑う暁の笑顔に、陽歌は懐かしいような不思議な感覚に襲われた。
これも夢で見た光景だっただろうかと、思いを廻らせる。
その時、奥の部屋から白衣を来た男性が現れた。
部屋から漏れる光と薄暗い廊下のせいで逆光になり、顔はハッキリと判らないが、この人が彼の父親なのだろうと思った。
「父さん連れて来たけど、診察希望者ではないようだよ。
どっちで休んでもらおうか?」
「診察をしないなら診療所じゃなく客間へお通しして。今コーヒーを用意するよ」
白衣の男性が近付くと、光の方向が変わり、顔の影が消えた。
陽歌はあまりにも驚きすぎて声を失ってしまった。
そこには、夢の中より少し年を重ねた彼が立っていた。



