【長編】ホタルの住む森


「私は大切な親友の陽歌にも、拓巳にも幸せになってもらいたい。
拓巳なら必ず陽歌を幸せにしてくれるし、陽歌だって、拓巳の女関係の噂の偏見さえ捨てれば、きっと彼を好きになるわ。
あなた達はきっと幸せになれる。
…お願い、陽歌。…夢から覚めて?」


真剣な亜里沙の瞳に、拓巳の想いが重なる。

心から自分を想ってくれる二人の気持が嬉しくて、陽歌は胸が熱くなった。



『今は辛くても、いつかきっと今日に感謝する日がくるはずよ』




不意に、ずっと昔、そう教えてくれた人の優しい声を思い出した。

ああ…あの人が言っていたことは本当だった。

懐かしい声に、ここ暫くの波立った気持ちがスウッと凪いでいくのを感じ、陽歌は静かに瞳を閉じた。