「知らない。初耳だわ」
「拓巳が断っているのは、陽歌と一緒に行きたいと思っているからだと思うの」
「…拓巳がそう言ったの?」
「……ううん、でも分かるのよ。
私は…親友だからね」
「亜里沙は私にとっても親友でしょ?
だったら私の気持ちも解ってよ?」
「ちゃんと解っているわよ。だからあなたには拓巳が必要だって思っているの。
陽歌っていつもはしっかりしてるくせに、時々凄く脆いところがあるじゃない。
傍にいて支えてくれる人が必要だって思うのよ。
拓巳なら陽歌が求めているものを与えてくれると思うよ」
亜里沙の言葉に陽歌は胸が詰まった。
幼い頃、事故で両親を亡くした陽歌の過去を知っている数少ない友人である亜里沙は、彼女のメンタル面をとても心配していた。
早くに自立をしたため、何事も自分でこなし、人に頼ることをしない陽歌は強い女だと思われている。
仕事も出来、周囲の人望も厚いキャリアウーマンの彼女は、いつも完璧で隙を見せることをしない。
だが、本当は寂しがりやで、子どものように繊細な部分がある。
過去の傷ゆえ、いつも誰かの腕を求めていることを亜里沙は知っていた。



