「でも拓巳、ちゃんと告白したんでしょう?
いままでで一番真剣に気持ちを伝えたって言ってたよ」
「う…ん。まあそうなんだけど…
あいつの告白なんて年中行事と一緒で、お決まりのイベントみたいなものじゃない。
それなのに今回に限って真剣で…どうして急に?って戸惑っているのよ」
フォークでパスタをクルクルと撒きつけながら曖昧に答える。
「年中行事って…本気でそう思っていたの?
拓巳はね、陽歌のこと入社した時から本気で好きだったんだよ。
陽歌は分かっていると思ってたのに…罪作りね」
パスタを口に運んだ瞬間、亜里沙が放った一言に喉が詰まった。
「ムグッ!ゴホッゴホッ…罪作りって…私が拓巳を弄んでいるみたいじゃない」
「拓巳はずっと陽歌の事、本気で見てきたんだよ?
拓巳は陽歌が思っているようないい加減な男じゃないよ。
陽歌を求める気持ちが強すぎて、時々耐えられなくなって、誰かに縋りたくなるだけなの。
確かに何度か脇道に逸れちゃう事もあったけど、それは陽歌への気持ちを吹っ切ろうと足掻いていた時なのよ。
…私は拓巳にそんな偽りの恋をしてほしくなかったから、その度に叱りつけてやったけどね」
「…じゃあ、あの噂は…私を諦める為に他の人と付き合っていたって言うの?」
「そうよ。拓巳だって辛かったのよ。
それなのに陽歌は相変わらず夢の彼ばっかりで…
私、心配なのよ。そろそろ拓巳だって限界だよ。知ってる?
拓巳に海外赴任の話があるって」
亜里沙は眉を潜めてきれいな髪をゆらした。



