【長編】ホタルの住む森


「どうして暁が生まれたその日を誕生日だと思うのかな?
それは男の人の考え方だと思うわ」

「生まれた日が誕生日じゃない?」

「そうよ。魂の欠片(かけら)が芽生えたその日が暁の誕生した日なのよ。
茜はね、ちゃんとその日を知っていたのよ」

「暁の宿った日を知っていたって言うのか?」

「そうよ。晃君に妊娠の事を告げたのは悪阻が始まってからだったかしら?
あたしには命が芽生えたのを感じたその夜にすぐにメールしてきたのよ。
茜は晃君が反対するのを分かっていたからなかなか言い出せなくてね。
随分悩んでいたのよ。赤ちゃんが出来たのを隠しているのは嘘をついているようで心苦しいって言っていたわ」

「それって…いつ?」

「晃君が茜に指輪をプレゼントした日よ。茜のメール見たい?」

「あるの?見せてくれる?」

「保存してあるから、後で転送してあげるわね。
ねぇ、晃君わかったでしょう?
暁は茜の体内で産まれるその瞬間までしっかりと愛情を受けてきたわ。
赤ちゃんがおなかにいるときから女性の子育ては始まっているのよ。
命が身の内に宿ったその瞬間からね」