「なっ…晃? 何するのよ。ずるい!もう少しだったのに」
「僕の勝ちだ」
「……は?」
「ほら、僕の腕の中に桜の花びらがいっぱいだろ?」
そう言われて自分の姿を良く見ると、確かに桜の花びらが髪や洋服にたくさん付いている。
「ね? 茜、可愛い。ピンク色に染まって綺麗だよ」
晃は私をそのまま強く腕の中に閉じ込めて、耳元に唇を寄せると軽く噛むようにして「茜、愛してる」と囁く。
決心が鈍る…心が揺れる。お願いだからそんな言葉は言わないで
視界がぼやけて薄い桜色一色に染め上げられる。もう、景色も分からないくらいに涙が溢れて止まらない。
「茜、どうした?まさか、泣くほど悔しかったとか?」
ハラハラと涙を流す私に戸惑いながら晃は優しく抱きしめてくれる。



