【長編】ホタルの住む森



花が舞う



風に煽られる私の髪が意志を持つかのように、桜を求め舞い上がり花びらに絡みつく。

両手を伸ばし風を掴むように花びらを求めるけれど、指に一瞬触れたそれは、すぐに風に連れ去られてしまう。

何度目に繰り返したときだろう。

不意に目の前に一枚の花びらが自然に舞い落ちてきた。

ヒラリと舞い落ちてくるそれを受け止めようと、思わず胸の前に両手を差し出す。

指に触れるか触れないかの瞬間、私の体は後方へ大きくバランスを崩した。

不意の事で何が起こったのか解らなかったけれど、次の瞬間ようやく自分の置かれた状況に気付いた。

晃が後から私を引き寄せ抱きしめたという事に。