春まだ浅い、茜色の空に旅立った君。 その日、僕らの住んだ家の庭の大きな桜の木が、何の前触れも無く一斉に満開になった。 それは君が旅立った事を悲しんで咲いたものなのか それとも君が命をかけて産み落とした新しい命を祝福したものなのか あるいは…君が別れの挨拶にと咲かせたものだったのか 僕には今でもわからない。 ただ、ひとつだけわかっていることがある。 あの桜も君が旅立った事を悲しんでいるのだと。 あの日から桜は二度と花をつけなくなった。