【長編】ホタルの住む森


凛と顔を上げ言葉を告げるタイミングを計る。

晃はどんな顔をするんだろう…。

晃が私を振り返る。

ぱあっとその場が一際明るくなるほどの笑顔で私に語り掛ける。

「茜、桜の花びらつかまえられる?」

切ないほどに、苦しいほどに…

あなたが愛しいよ、晃…。

「僕より早く花びらをつかまえられたら、なんでも一つ言う事を聞いてあげるよ」

晃の言葉に思わず顔を上げる。


―――何でも?―――


「何でも?本当に何でも言う事を聞いてくれるの?」

晃は私の勢いに一瞬驚いたようだったけれど、また鮮やかに笑って 「何でもいいよ」と言った。


私が勝ったら…晃に告げよう……。


私は深呼吸を一つすると「やるわ。絶対に勝ってやる」と言った。


晃が楽しそうに笑うのを見つめて胸が痛くなったけれど、私は自分の出した結論に間違いは無いと思っている。


これで…晃を自由にしてあげられる。


私から解き放ってあげられる