【長編】ホタルの住む森


ずっとそばにいるから。


そう言ってふわりと優しく僕を抱きしめる。

甘い香りが立ち上り、これが夢ではない事を教えてくれる。

茜は今、確かに腕の中で生きている。


甘く、優しく、温かい、何よりも大切な命がここにある。


「たとえ体が無くなっても、私はあなたのそばにいる。
あなたが一人にならないように…。
お願い、晃。子どもが欲しいの。産みたいの。
決して叶う事の無いと思っていた私の夢なの。
あなたの赤ちゃんが欲しいの。
どうしても…産みたいの」


―――このぬくもりを失うかもしれないリスクを負ってまで、子どもなんて要らない!


茜の頬を一筋の涙が伝う。


―――だめだ!君を失うくらいなら、僕は何も要らない…。


「私の命を受け継ぐものを、私の意志を受け継ぐものを…」


茜の言葉に、びくっと体に電流が走った。