【長編】ホタルの住む森


「だめ、離さないよ…」

そんなに甘い声で言わないで。

「愛してる、茜」

私だって、どんなにあなたを愛しているか…

晃がため息を一つついた

「僕の奥さんは、僕を愛してくれてないのかな~?」

もう、わかってるくせに、そんな捨てられた子犬みたいな瞳で見ないでよ。

「いじわるだね。晃って…」

上目遣いで睨みつつも、口元は笑ってしまう。

あぁ、私って本当に弱い

「夜まで待たなきゃだめ?」

…出来ればそうして欲しいけど

「待てないんだけど…?」

…だめですか?

「今すぐに茜が欲しい」


だから、弱いんだってその瞳には

「無言は肯定ってことでいいよね」

え?と訊く暇もなく晃が私を抱き上げた。大またで部屋を横切ると寝室のドアを開く。

「あ、あきらっ? ちょっ…ちょっと?」

ベッドサイドに下ろされ、すぐに押し倒されると思って身構えていた私は、次に晃がとった予想外の行動に固まってしまった。