「わ……私すぐはぐれちゃうんだ。
だから……掴んでていいかなあ?」
硬直してしまう。
さっきから、俺の心臓ヘンだ。
物凄い速さで脈打ってる。
こんなの初めてなんだけど……なにこれ。
心臓爆発しそう。
もしかして俺、病気?
「よ……喜んで」
女に服掴まれるのなんて日常茶飯事で、特になんとも思わなかったはず。
なのに、どうして今日はこんなにドキドキするんだ……?
「ありがとう宮本くん」
「……」
もはや反射的に俺は水上の手を握っていた。
「みや……!?」
驚く水上を無視して足を進めた。
「これなら絶対はぐれねえだろ」
「え……?」
「だって俺、水上のこと離さねえから」
水上が目を見開く。
「……なんてな!」
慌てて笑ってみせたけど、その笑顔はぎこちなかったと思う。
クサイ台詞なんて今まで散々腐るほど吐いてきたけど、ここまで意識したのは初めてだ。

