ダメ。


んな可愛い顔するなんてダメ、反則。


「面倒くせーな……」


水上がしょんぼりうなだれる。


俺はカバンを肩にかけ直した。


そして、水上の華奢な体を抱き上げる。


「ひゃああああっ!?」


不意を打たれた水上は相当驚いたらしく、高い叫び声を上げた。


「みゃっ……みやっ……宮本くん!?」

「んな面倒くせーことするより、こっちの方が早いだろ」


俺は水上を抱き上げたまま階段をヒョイヒョイ降りた。


水上は思ってた以上に軽かった。


細いのに柔らかい体。


ふんわりと優しい匂いがする。


「お前体重何キロ?」

「え?
わ……分かんないけど……。
……あ!!!
もしかして重かった!?
いいよ下ろして!」

「いや、逆。
軽すぎ。
中身入ってんの?」


こんな華奢な体なのに、飯はめちゃくちゃ食うんだよなコイツ。


昨日の水上が美味しそうにカレーを頬張る姿を思い出してクスッと笑った。