窓のない窓際

 
女に食べさせてもらうことはよくある。


俺、食べさせられるの好きじゃないんだけど、女ってやたらやりたがるからやらせとく。


でも、食べさせるのって初めてで……。


なんか女の気持ちが分かったような。


食べさせるのって、なんかイイ……。


「結局全部食べたな」


あんなにあった料理の山はものの30分で無くなってしまった。


「も……だめ……。
お腹いっぱい……」


水上がくたっとテーブルに突っ伏す。


あれだけ拒否していたのに、水上はハンバーグもカレーもグラタンも、ついでにパフェもプリンもケーキも全て平らげた。


腹減ってないって嘘じゃん……。


「水上って意外に食うのな」


意外に……てか意外すぎ。


まさか全部食べるとは……。


その細い体のどこに入ったんだよ。


「んぅー……。
だって宮本くんが次から次に食べさせるんだもーん……」


水上がテーブルに伏せたまま顔だけ俺に向けた。


そして可愛い顔でニコッと笑う。


「でも……ありがと。
私、久しぶりにお腹いっぱいこんなおいしいご飯食べたよ」


ズキュ─────ン。


俺が鼻から流血したのは言うまでもない。