窓のない窓際

 
「水上、口開けろ」

「え?」


水上が顔を上げる。


ポカンと開いたその小さな口にスプーンを運んだ。


「!」


水上は一瞬ビクッと肩を震わせたけど、すぐに状況を理解したようだった。


「宮本く……?」

「うまいだろ、カレー」


水上は口をもぐもぐ動かしながら、恥ずかしそうに頷いた。


やべ、可愛い!


「ほら、ハンバーグ!」


俺がハンバーグを刺したフォークを向けると、水上は小さく口を開く。


「うまい?」

「……うん」


水上……顔、真っ赤。


すっかりハマる俺。


ていうか、あんなに「食べない」とか言ってたのに!


俺が「あーん」してあげると食べるって……!


「水上の甘えん坊」


なんてからかってみたりー。


俺がにししと笑うと、水上は怒ったように頬を膨らます。


それがまた可愛くて悶絶。


結局、自分が食べるのも忘れて水上に食べさせることに夢中になっていた。