窓のない窓際

 
なに食おっかなー♪


ハンバーグもいいけどカレーも捨てがたいしグラタンも惹かれる……。


「水上決まった?」


いったんメニューから目を離して水上を見た。


水上はメニューを見つめたまま動かない。


メニューを見ているというよりは、ただ持っているだけのようにも見える。


「水上……?」

「やっぱり私はいいや。
お腹減ってないから」


水上はそう言ってメニューを伏せた。


「だからお前細いんだよ!
しっかり食わねーと、そのままじゃ折れるぞ!」

「折れないよ」


水上はクスッと笑って自分の腕を掴んだ。


「あ、確かにちょっと細いかも……」


そしてまた例の寂しそうな顔をする。


「水上……」

「あはっ、私最近ちょっと痩せたんだあ。
本当に折れたらどうしよう」


あからさまに空元気な笑顔。


俺は勢い良くボタンを押して店員を呼んだ。


「お待たせいたしました。
ご注文お伺いいたしま……」

「ハンバーグとカレーとグラタン!
2つずつ!!!」