窓のない窓際

 
映画が始まっても水上のことが気になってさっぱり集中できなかった。


夢だと思って何度も確認してみたけど、やっぱり俺の手はしっかり水上の手を握っていて……。


夢じゃないんだなって実感する。


水上の手、小さいけどめちゃくちゃ温かい。


真剣にスクリーンを見つめる水上の横顔、を見つめる俺。


顔小さい、まつげ長い、鼻高い。


やっぱりすげー可愛い……。


キュンと高鳴った胸に気付いて我に返る。


待て待て待て!!!


なんだよこれ!


いつもは見つめられる側なのに……。


今日は逆に見つめていて……。


こんなのらしくなくて動揺してしまう。


でも……。


そう思っても、またすぐに視線を水上に向けてしまう。