窓のない窓際

 
って俺、なんかマジでおかしくないか?


これってもしかして本当に恋?


……いやいや、まさか!


ないない。


この俺が女に本気になるなんてありえねえって!


うん、ありえない!


こんなにしつこく落とそうとしてるのは、自分のプライドのため。


ドキドキするのは、水上の顔がちょっと他より可愛いから。


それだけ!


恋なんてこの俺がするわけない!……よな?


「ねぇ、宮本くん」


突然声をかけられてビクッとした俺。


しばらく続いていた沈黙を破ったのは水上だった。


「ん?」

「あの……一体どこに向かってるの?」


水上が不安げに俺に尋ねた。


「え?
映画館」

「映画館!?」


水上がもの凄く驚いたような表情になる。


そしてすぐに眉を寄せて下を向いた。


「あの……私……映画は、ちょっと……」


えぇ──────!?