「私もね、同じこと考えてたの……。
宮本くん気まずくないかなって……」
「まさか!
気まずいわけないじゃん!
俺、水上と手繋げてるだけで幸せっていうか、一緒にいるだけでいっぱいいっぱいだから会話どころじゃな……ってまた何言ってんだ俺は!」
慌てる俺を見て、水上は「そっか」って小さく呟いて笑った。
それからまたしばらく2人とも無言のまま通りを歩いた。
俺は沈黙が嫌いだ。
嫌な空気になるから。
だから女と歩く時は必ず何かベラベラ喋るようにしてる。
でも、今日は沈黙が好きだ。
嫌な空気になるどころか、ほんわかした柔らかい空気が俺を包む。
感じるのは水上の手の温もりだけ。
それがいい。
ずっとこのままがいい。
気まずさを気にしてベラベラ喋って気疲れする必要もない。
あー……。
なんか……水上っていいな。

