そこで急に雪がニヤついて意味ありげな視線を送ってきた。


「ところでそっちはどうなってんだよ?お前が一年も海外行って死にかけた時、俺らに連絡もしないであいつに支えてもらったんだろ?それからどうなったよ?」


完全に噂好きのおばちゃん顔になった雪が、テーブル越しに身まで乗り出してくる始末。


「あ?ちょっと撃たれただけで死にかけてなんかねぇし。それにどうもなってねぇよ」


プッと唇をとがらせた俺に雪が大袈裟なため息をつき、何か言いたげに口を開きかけた瞬間、雪の方から着信音が鳴り響いた。


やっと来たかと呟いて電話に出た雪が、短い会話の後俺を一瞥して携帯をパタンと閉じる。


間もなく俺達の居る個室に春と秋が案内され、男二人の味気なかった空間が一気に華やかな雰囲気に包まれた。


そして雪と同じく3年ぶりに見る秋の姿に懐かしさを感じながら明るく声をかける。


「秋、結婚おめでとう」


恥ずかしそうに頬を染めた秋が、ありがとうと本当に嬉しそうに微笑んで雪の隣にそっと座った。


お互い大切な存在を失ったという現実を乗り越え寄り添い合う二人を見て、秋に選ばれたのは俺じゃなく雪だったという結果にマイナスの感情は一切浮かばない。