「えっと、……3ヶ月前にフラれました」





 あっ、話の方向、失敗したかな?





「俺、何かに夢中になると、周りが見えなくなるからダメなんですよね」





 そう言って、カラッと笑ってくれて助かった。





「いつも、クリスマス時期に彼女がいない状態なんですよ」





 左手をマッサージしながら、彼は軽い感じで言った。



 意外に思った、こんなに話しやすくて、いい子なのに。





「ふふ、運命の恋じゃなかったのね」



「そうなの、かな? ……実は俺、小説書いてるんです、だから夢中になると色々約束とか忘れちゃって」





 照れくさそうに、克己は言った。





「それはマズイかもね、で、どんなジャンル書くの?」



「ミステリーと恋愛モノです、でも、いろんなジャンル書いてみたくて」



「今は、彼女なんていらない?」



「はは♪ そんなことないですよ」



「あらすじ、言ってみてよ」



「えぇっと、恥ずかしいな……」





 足を拭かれて

 マッサージをしてもらう

 無言に耐えられなくて

 他愛もないことを

 たくさん話し続けた。