綾の甘い声を聞いてしまうと、どっちを信じていいのか分からなくなってしまう。

――本当に慧と付き合ってるの??

こんな言葉が出てしまうそうになったけど、ぐっとこらえた。


「あと1週間もしたらクリスマスだからね・・・。」

雪だって降ってもおかしくはない。


「そういえば慧は?一緒に登校とかしないの??」


綾は一瞬黙ったあと、あたしから視線をはずしてこう言った。



「さとくんは後から来るって・・・。」


「そっか。」

しばらく沈黙が続いたまま、黙々とあたしたちは学校へ向かっている。


綾もあたしも下を向いて歩くばかりで、二人とも前を見ようとはしていなかった――。