「ねー、愛莉!手、つないでいい??」

そう冗談を言いながら笑う君。


「はあ?バカじゃない。」

そして、素直になれないあたし。


付き合っているわけじゃないのに、慧はあたしに手を差し出してくる。


慧は気がつくとなぜかいつも、あたしのそばにいた。


だからなのかもしれないね・・・。



二人の距離があまりにも近すぎたから、気がつかなかったんだ――。



「えー、愛莉のケチー。」


そう言って隣で慧はつまらなそうに口を尖らせていた。