子供の頃はなんでも言えた

けれどキミは覚えているかな?

私を呼ぶキミはいつでも綺麗だったのに

高校最後の1年、私達はおおきく変わってしまった








青い空の下で大きく伸びをした

澄んだ空には白い雲が流れている

手を伸ばせは届いてしまいそうで思わず笑みは零れた

「千鶴。」

そう私を呼んだのはキミだった

「真琴。」

振り向けば笑うキミ

私の半身のキミをワタシは想う

「授業始まるぞ。鈴木が探してた。」

そう言ったキミに笑いかける

「そうなの?…でも、もう少しここにいたいの。」

ここは屋上

私は1人仰向けで寝ていた

ゆっくりと手で空を仰ぐとキミは隣へ座った

「空がね……私に言うの。“歌って”って…。」

キミは笑って私に言った

「歌えばいい。お前の声…嫌いじゃない。」

キミの言葉にいつも安心できた

キミが笑えば自然と笑顔になれるんだ

ねぇ、真琴……私はキミを想ってる

けれどそれは“家族”として…

初めて出逢ったあの日をキミは覚えているのかな?

私の大切な思い出

「~~♪」

たしかに私達は双子

でもね血は繋がっていないんだよ?

そんなこと気にするのも可笑しいかもしれない

それでもいまの関係を絶対に壊したくないから

  ―――……真琴……―――







しばらくして教室へ戻った

結局1時間を真琴と2人で屋上で過ごしたけれど

その時間はあっという間だった気がする

「千鶴チャン!」

振り向けば私の大切な友達がいた

駆け寄るその子の名前は“鈴木 香”ちゃん

私の初めての友達

「あ…ごめんね。1時間サボっちゃった。」

顔の前で手をあわせてごめんッと謝った

すると仕方がないといった様子で溜息をつく

そんな香ちゃんに微笑んでみせた

「真琴君と一緒だったんでしょ?それよりさっき平河先生個室のほうに行ってたから、早くしないと千鶴チャン遅刻しちゃうよ!?」

そう言って彼女は私にヴァイオリンを渡した