ロードの声に反応してアークは反射的に振り向いた。

そこには、目を開いてキメラが立ち尽くしていた。

シルバーで縁取られたホワイトパールの瞳、アークの想像を遥かに上回る神々しい目は焦点が定まっていない。


「おぉ……、なんて美しい……」

「これで満足?」

「……いや」

「ん?」

「こいつにはまだ何もない、名前も言葉も感情も……」

「そうなんだ?」

「あぁ……。そいつに人生を与えるのは、キャンディに任せた」

「え?」


突然の申し出に戸惑うロード。アークは元々決めていた。

このキメラに生きている意味を与えるのをキャンディに任せる事を。


「すまない、もう時間がないんだ」

言いながらアークは、容器の中で立っているキメラを抱えあげた。

そしてさっき兵士から没収したものを手に取ってロードの方へ進む。

ロードの隣りにキメラをおろして、手に持っているものをロードにて渡した。

「こいつに着せてやってくれ」

「うん、分かったよ」

「また会おう」

「え?」