「そっか……。あぁ、よかった」
ハルトは張り詰めていた糸が切れたように、本当に安心したような息を吐いた。
それから、何かを思い出したように私の顔を覗き込んできた。
「あ、そうだ。ねえ香織、今週末って空いてる? 地元の神社でさ、ちょうど例大祭があるんだよ。ほら、俺たちが昔、毎年一緒に行って、境内の裏で迷子になった、あの海が見える神社」
「お祭り……?」
「そう、お祭り。調香のインスピレーションっていうの? そういうのも必要だろ? 最後に……いや、久しぶりにさ、二人で一緒に行きたいなって」
一瞬、ハルトの言葉の端に「最後」という不穏な響きが混ざりかけた気がして、私の心臓が冷たく跳ねた。
けれど、彼はすぐにそれを打ち消すように、いつもの眩しい笑顔を作ってみせる。その笑顔の作り方があまりにも自然で、もし私の鼻が彼の「死の香り」を捉えていなければ、ただの元気な幼馴染の誘いだと見過ごしていただろう。
「いいよ、行こう。ハルトの匂いのサンプルも、もっとたくさん採取しなきゃいけないしね」
「サンプルって、俺は実験台かよ」
ハルトは楽しそうに声をあげて笑う。
けれど、その笑い声の語尾が、微かに掠れて息苦しそうに途切れたのを、私の鋭敏な五感は見逃さなかった。
彼が立ち上がったとき、その足元がほんの一瞬、目眩を堪えるようにふらつく。
デニムジャケットの下の肩の線が、昔の記憶よりもずっと薄く、細くなっていることに気付き、胸の奥がキリキリと痛んだ。
「じゃあ、土曜日の夕方、あの坂道の下で待ち合わせな。遅れるなよ、香織」
そう言って軽快に手を振り、工房を去っていくハルトの背中を、私はただ見送ることしかできなかった。
真鍮のドアベルがカランと静かに鳴り響き、彼が去った後の空間には、弾けるようなシトラスの残り香が、寂しげに漂っていた。
大丈夫。まだ、トップノートが始まったばかり。古典的な教科書によれば、このフェーズは数日から長ければ2週間は続くはずだ。
そう自分に言い聞かせながらも、私は彼が座っていた丸椅子の前に戻り、狂ったように処方箋(レシピ)ノートにペンを走り寄せ始めた。
こんにちは♪m a iです!
また会えました❤️
いいねが一個でも増えると飛びあがっちゃいます❣️
みんなは、お祭りで、何が好きですか❔
私は、絶対、りんご飴っ!
皆様何が好きですか❔
コメントして教えてください!
ハルトは張り詰めていた糸が切れたように、本当に安心したような息を吐いた。
それから、何かを思い出したように私の顔を覗き込んできた。
「あ、そうだ。ねえ香織、今週末って空いてる? 地元の神社でさ、ちょうど例大祭があるんだよ。ほら、俺たちが昔、毎年一緒に行って、境内の裏で迷子になった、あの海が見える神社」
「お祭り……?」
「そう、お祭り。調香のインスピレーションっていうの? そういうのも必要だろ? 最後に……いや、久しぶりにさ、二人で一緒に行きたいなって」
一瞬、ハルトの言葉の端に「最後」という不穏な響きが混ざりかけた気がして、私の心臓が冷たく跳ねた。
けれど、彼はすぐにそれを打ち消すように、いつもの眩しい笑顔を作ってみせる。その笑顔の作り方があまりにも自然で、もし私の鼻が彼の「死の香り」を捉えていなければ、ただの元気な幼馴染の誘いだと見過ごしていただろう。
「いいよ、行こう。ハルトの匂いのサンプルも、もっとたくさん採取しなきゃいけないしね」
「サンプルって、俺は実験台かよ」
ハルトは楽しそうに声をあげて笑う。
けれど、その笑い声の語尾が、微かに掠れて息苦しそうに途切れたのを、私の鋭敏な五感は見逃さなかった。
彼が立ち上がったとき、その足元がほんの一瞬、目眩を堪えるようにふらつく。
デニムジャケットの下の肩の線が、昔の記憶よりもずっと薄く、細くなっていることに気付き、胸の奥がキリキリと痛んだ。
「じゃあ、土曜日の夕方、あの坂道の下で待ち合わせな。遅れるなよ、香織」
そう言って軽快に手を振り、工房を去っていくハルトの背中を、私はただ見送ることしかできなかった。
真鍮のドアベルがカランと静かに鳴り響き、彼が去った後の空間には、弾けるようなシトラスの残り香が、寂しげに漂っていた。
大丈夫。まだ、トップノートが始まったばかり。古典的な教科書によれば、このフェーズは数日から長ければ2週間は続くはずだ。
そう自分に言い聞かせながらも、私は彼が座っていた丸椅子の前に戻り、狂ったように処方箋(レシピ)ノートにペンを走り寄せ始めた。
こんにちは♪m a iです!
また会えました❤️
いいねが一個でも増えると飛びあがっちゃいます❣️
みんなは、お祭りで、何が好きですか❔
私は、絶対、りんご飴っ!
皆様何が好きですか❔
コメントして教えてください!


