きみが待つ空へ ~敏腕パイロットは命をかけて愛を守る~

 私たちはコーヒーを飲み終えると、カフェを出て、大聖堂へと向かった。
 緩やかな坂道を、天高くそびえる二つの塔を目指して歩く。
 広場を横切ると、大聖堂が目の前に迫った。
 聖書の物語や成人たちを表した見事な彫刻が施されたファサードを仰ぎ、中央の扉をくぐって中に入った。
 すっとひんやりとした空気に包まれ、自然に背筋が伸びる。
 外の車のクラクションや人々の話し声が嘘のように、堂内には静謐な時間が流れていた。
 高く伸びる石柱に支えられた空間。
 壁面や高い窓には、青が印象的なステンドグラスがはめ込まれている。
 同じ青でも、すがすがしい水色もあれば、紺色に近い青もある。
「本当に、この青とよく似てる」
 私は胸元のネックレスに手を当てた。
 光を受けて、深い青にも澄んだ水色にも見えるサファイアは、シャルトル・ブルーを思わせる。
「この青を、美桜と一緒に見たかった」
 颯さんは、ステンドグラスを見上げながら穏やかに笑っていた。
 顔をゆっくりと私に向ける。
「また何度でも、きみとここに来たい」
「私も……です」
 いつの日にか、また彼とこの青の世界に包まれる。
 何度でも、一緒に。
 そんな未来を、彼が思い描いていてくれることが嬉しい。

 私たちは大聖堂を出て、正面の広場へと出た。
 見上げた空もまた、どこまでも青い。
「あ! 見て、颯さん!」
 私が指差した先には、白い飛行機雲。
 その雲は、まっすぐに伸びて光の射す彼方へと続いていた。
 彼となら、どんな未来へも翼を広げ、羽ばたいていける。
 澄んだ空の下、ふたりで歩んでいくこれからの旅が、私は楽しみでならなかった。