◆◇◆
「千代子先生うらやましい。イケメンの隣に座れて」
「ほんと……そこ代わってほしい」
どこで待てばいいか分からなかったので、代わりに吉永くんのデスクのそばに座った。
「はい、これ……」
私は、新作マンガのネームと、今連載中のマンガの最後の三話の原稿に悪戦苦闘しながら座っている彼に、温かいミルクを買って渡しに行った。
「ありがとうございます。千代子さんって優しいんですね」
また笑った! もう、その口にガムテープを貼りたくなってきた。イケメンを前にすると私が調子を狂わされるって罪で。
彼はにこやかな顔で原稿に目をやり、そして最後の三話を涙をぼろぼろ流しながら読み終えた。
「こんなに感動するなんて信じられない」
「あ……ありがとうございます」
泣くの?
そして彼は新作のネームが入った封筒を開けた。最初の三話分のネームだ。
「ふむ? 今度はファンタジーですか? へえ……虐げられたお嬢様ですね。うんうん」
「はい……ちょっとジャンルを変えたくて。それで魔法とかを話に入れようかと。そうすればロマンスのシーンももっと描けるかなって」
彼は最高に気分の良さそうな顔でネームを読み進めた。二ページ目をめくると目つきが下がり始め、四ページ目で考え込む素振りを見せ、九ページ目では驚いた顔をして私と交互に視線をやった。
そしてほどなく、彼はネームを置いた。
「あの……吉永くん?」
彼は目を閉じて、真剣な声で言った。
「あの……千代子さん。率直に言いますね」
私のにこやかな顔は、即座に引きつった笑顔に変わった。
「全然面白くないです」
ぐさっ!! 胸の真ん中をナイフで刺される感じってこういうのか。くっそ、めちゃくちゃ痛い。
「本気で?」
「はい……」
「三話まで読んだ?」
「十ページめくっただけでダメだと分かりました」
なんだってえええ!! 私は月刊誌の看板漫画家なんだぞ。よくも面白くないなんて言えたもんだ。このプロット、半年かけて考えたんだぞ!
「千代子先生うらやましい。イケメンの隣に座れて」
「ほんと……そこ代わってほしい」
どこで待てばいいか分からなかったので、代わりに吉永くんのデスクのそばに座った。
「はい、これ……」
私は、新作マンガのネームと、今連載中のマンガの最後の三話の原稿に悪戦苦闘しながら座っている彼に、温かいミルクを買って渡しに行った。
「ありがとうございます。千代子さんって優しいんですね」
また笑った! もう、その口にガムテープを貼りたくなってきた。イケメンを前にすると私が調子を狂わされるって罪で。
彼はにこやかな顔で原稿に目をやり、そして最後の三話を涙をぼろぼろ流しながら読み終えた。
「こんなに感動するなんて信じられない」
「あ……ありがとうございます」
泣くの?
そして彼は新作のネームが入った封筒を開けた。最初の三話分のネームだ。
「ふむ? 今度はファンタジーですか? へえ……虐げられたお嬢様ですね。うんうん」
「はい……ちょっとジャンルを変えたくて。それで魔法とかを話に入れようかと。そうすればロマンスのシーンももっと描けるかなって」
彼は最高に気分の良さそうな顔でネームを読み進めた。二ページ目をめくると目つきが下がり始め、四ページ目で考え込む素振りを見せ、九ページ目では驚いた顔をして私と交互に視線をやった。
そしてほどなく、彼はネームを置いた。
「あの……吉永くん?」
彼は目を閉じて、真剣な声で言った。
「あの……千代子さん。率直に言いますね」
私のにこやかな顔は、即座に引きつった笑顔に変わった。
「全然面白くないです」
ぐさっ!! 胸の真ん中をナイフで刺される感じってこういうのか。くっそ、めちゃくちゃ痛い。
「本気で?」
「はい……」
「三話まで読んだ?」
「十ページめくっただけでダメだと分かりました」
なんだってえええ!! 私は月刊誌の看板漫画家なんだぞ。よくも面白くないなんて言えたもんだ。このプロット、半年かけて考えたんだぞ!



