白石無月は笑わない。

晴れ渡った青空。

今日も朝が来た。

黒いブレザー

チェック柄のスカート

胸元の青いリボン

私・白石 無月、今日から中学1年生。

今日は入学式。

_カシャシャシャシャッッッッ!!!!!!

「待って!?俺の妹可愛すぎないか!?!?」

「お前今更かよっ!!!でもマジでヤバいっ!俺の妹は世界一!!世界一の美少女だぁぁ!!!」

「お世辞って分かってるから言わなくていいよ。しかも大袈裟すぎ。」

うちの兄たちが意味の分からないことを言いながらスマホをこっちに向けて写真を撮ってくる。勝手に。(連写)

「「お世辞なわけあるぅぅ!?!?」」

「…一回黙って?」

こういう時だけ意気投合…。まったく…。どっちが年上なのか。

私の兄・悟と優。こっちが心配になるくらい過保護。
悟兄が高3で、優兄が高2。そして私は今日から中1。

”黒町中高一貫校”

今日から私が通う学校。

中高一貫だから、兄たちもここに通ってる。

…友達、出来るかな。

私は友達を作るのが下手。

下手…ではないかもだけど、友達を作ること自体が久しぶりだったから。

小4の時。クラスのオシャレで可愛い、みんなの人気者の子に。「アンタの笑顔って本当に気持ち悪い〜。」って言われた。他の子たちもその子に同情するように、私をバカにして笑った。私が可愛いってわけではないことは分かってたけど。”気持ち悪い”は酷くない?あの時、すごいショックだった。そしてあの日から、私は学校に通わなくなった。小6まで。学校に通わなくなって、頭もどんどん悪くなっていった。

そして、”あの一件”のせいで、私はついに、笑顔を見失った。

まあ、今は全然気にしてないし、笑ってなくても別に何かが変わるってわけでもない。

このままで、別にいいんだ。

逆に、笑ったらまた気持ち悪いって言われるから。

「それじゃ、そろそろ行ってくる。」

「あら無月、もう行くの?」

「気をつけるんだぞー!!」

お母さんとお父さんまで玄関に顔を出す。

「「行ってらっしゃい!」」

兄さんたちも笑顔で見送る。

…さすが、仲良し家族。

そして私は、ドアを開け、家を出た。

「くそ…。」

「今日もダメだったな…。」

入学式の時間が迫ってきて急いで家を出た私の耳に、兄さんたちのそんな言葉が届くことはなかった。