君と過ごしたあの日々を私は忘れない

あれから弦は毎日病室に来るようになった。

昨日はお菓子を持ってきてくれた。

そして今日は何だろうと考えていると、ドアが開いた。


「美海」


パッカーン

クラッカーがなった。


「ん?何?」

「え、もっと驚いてくれないの?」


弦は悲しそうに眉を寄せた。

いや、そんなに悲しそうにされても…。


「え、あ、ごめん」

「まあ別にいいけど」


少し気まずくなっていると、弦の口が開いた。


「えっと、明日ね。俺が好きな先生の誕生日なんだよね。それと先生が4時間目が1年生の授業だから、会いに行くんだ」


…いや、ストーカーか。時間割全部その頭に詰め込んでるのか?

怖すぎでしょ。


「うん。頑張ってね」

「もっと喜んでよー」


…喜ぶ要素あるか?


「まあ、とにかく頑張れ」

「おう」


私はあと何日か…。4か?5か?

とにかくあと何日かだ。

何かしよう。

私は手を動かそうとした。でも、動かない…。


「…あれ?」


弦がこっちを見た。

動かない。手が動かない…。

冷たい何かが私の頬を伝った。

なんで…?なんで動かないの?


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ」


私は叫んだ。どちらかといえば、口が勝手に動いた。


「美海落ち着け!」


分かってる。分かってるよ。

でも…止まらないの……!

はあはあはあ…

やっと叫びが止まった。


「…ごめん。ちょっと、とり乱しちゃって…」

「大丈夫だ。今日はもう帰る。また明日な」