イケメンだらけのドラッグストアでいつのまにか全員から執着されていました

俺は一ノ瀬蓮…天音ちゃんの隣の店舗で薬局長をしている
俺の父は東方大学の医学部卒で、母は東方大学の薬学部卒だ。
二人兄弟の兄は、父と同じ東方大学の医学部へ進んだ。
もともと虚弱体質だった俺は体力も低めで、何をやっても兄がいつも一番だった。そんな俺を、母はいつも優しく慰めてくれたものだ。
具合が良くない時は、薬を飲むとスーッと治まった。その、魔法のような小さな粒に俺は興味を持ち、いつしか母と同じ東方大学薬学部へ進むことを決めていたんだ……。
だが、大学に入ってからも、新入社員研修の時も、耳に届くのは決まって同じ言葉だった。
「医者になれなかったんだろ」
「どうせ顔が良いだけだよね……」
そんな心無い陰口を、どれだけ叩かれてきたことか。
新人賞のときだってそうだ。氷室涼香という規格外の天才が現れ、俺は惜しくも二位に終わった。
——ふざけるな。俺はいつだって、人一倍努力を惜しんではいない。
薬剤師だって医療の重要な柱なのだと父に証明したい。周囲の連中に「ただ医者になれなかった落ちこぼれ」などと言われるのは、もうごめんだ。
そんなトゲトゲした気持ちで日々を過ごしていた中、静か目の同期の薬局長が隣にやってきた。
薬師寺天音……地味な女の子。
正直、同期にそんな奴がいることすら、最初は気づいていなかった。
「よっ、よろしくお願いします……!」
おどおどしながら頭を下げる、その素朴な姿を見たとき、俺は身構えた。
(……どうせこいつらも、俺の顔や家柄を見て陰でディスってくる口だろ)
だが、彼女は違った。
彼女は、俺が分からないところを質問すると丁寧に向き合ってくれたし、何より勉強熱心な俺のことをいつも真っ直ぐに褒めてくれた。
今までは一人で歯をくいしばって頑張ってきた俺だけど……人に教えることで、自分の理解もより深まった。
ただがむしゃらに突っ走っていただけの俺に、まるで一筋の光が舞い降りたようだった。
確かに、彼女に派手さはない。
外見だけで言えばもっと他に綺麗な人だっているだろうし、世間を見渡せばもっとエリートな女性だってたくさんいるだろう。
だが——。
彼女はいつだって一生懸命で、俺に前を向く勇気をくれる。
俺にとって、天音ちゃんは眩しすぎる「女神」なんだ。
昨日の夜だってそうだ。何かにつけて、あの神楽坂エリア長が彼女を食事に誘っていた。
(……やらせねーぜ。天音ちゃんは絶対、俺が……!)
にしても、学生時代から死ぬ気で勉強していて本当に良かった。
俺の店舗にはベテランのおじさん管理薬剤師の先生がいるから、薬局長である俺は自分の裁量で比較的自由に動くこともできる。
よし、次の学会発表は……絶対に天音ちゃんと一緒にチャレンジするぜ!
今日は所沢駅前店で、一体どんな顔を見せてくれるのかな。
たっ楽しみだ……。
「待っててくれよ、天音ちゃん……」
俺は資料をしっかりと抱え、彼女の待つ所沢駅前店へと足を進めるのだった。