愛してるなんて、噓でしょう?

美月 side
最近、蓮の様子が少し違う。


以前よりも電話が増えたし、会う約束をしていても、急に予定が変わることがある。


忙しいのだろうと思っていた。


けれど、その日の夜。


蓮から届いたメッセージは、いつもと違っていた。

『今日は会えなくなった。ごめん』

『大丈夫だよ。お仕事?』

『ああ。少し確認しなければならないことがある』

『分かった。無理しないでね』

返信を送って、スマートフォンを置く。


会えないことが寂しくないわけではない。


でも、蓮にも大切な仕事がある。


そう思っていた。


翌日、カフェの仕事を終えて外に出ると、蓮が待っていた。

「蓮さん!」

「お疲れさま」

「昨日は大丈夫だった?」

「ああ。心配かけてごめん」

「ううん」

蓮は私の顔を見つめた。

「少し、話せる?」

「うん」

私たちは近くの公園へ向かった。


ベンチに並んで座る。

「実は、父から話を聞いた」

「十二年前のこと?」

「ああ。まだ分からないことも多いけど、君のお父さんが何かを隠していた可能性がある」

「それって、私にも関係するの?」

「直接、君が何かをしたわけじゃない。ただ、君のお父さんが持っていた情報が、今も残っているかもしれない」

私は少しだけ息を呑んだ。

「それを、蓮さんは探しているの?」

「そうだ」

「私のお父さんのことを知るために?」

「ああ」

蓮は私の手を握った。

「ただ、君を危険な目に遭わせるつもりはない」

「蓮さん」

「何?」

「私のことを守ろうとしてくれるのは嬉しい。でも、何も教えてもらえないままなのは嫌だよ」

蓮は黙って私を見た。

「私も知りたい。お父さんが何をしていたのか。どうしていなくなったのか」

「分かっている」

「それなら、私にも話して」

蓮は少しだけ視線を落とした。

「……そうだな。俺は、君を守ることばかり考えていた」

「うん」

「でも、それでは君の気持ちを置き去りにしてしまう」

私は小さく頷いた。

「一緒に考えたいの」

蓮は私の手を握り直した。

「分かった。これからは、できる限り共有する」

「約束だよ」

「ああ。約束する」

私は蓮の肩に寄りかかった。

「私も、蓮さんを守りたい」

「俺を?」

「うん。蓮さんだって、いつも一人で頑張っているから」

蓮は少し驚いたあと、優しく笑った。

「ありがとう」

その声が、いつもより柔らかく聞こえた。