好きになった人は、友達の好きな人でした。

性格が良くて、頭も良くて、顔も可愛いという漫画のヒロインみたいな私の友達。

おしとやかな彼女とは正反対な性格をもつ私。

一見相性が悪そうに見えるけど全くそんなことはない。

たまに会話がすれ違う時もあるけれど。

私たちは上手くやっている。




彼女が彼に好意を寄せていることを知ったのは、紅葉がみられるようになった中二の十月だった。
なんとも思わなかった。
だから、応援するね、とだけ伝えた。

「わ!メンツ強い」
「楽しもうな」
「修学旅行この班で行くのか」
「そうだよ!班行動あるからドキドキだね」

教室のどこもかしこもありふれた言葉で溢れる。
口が達者になるのも問題ない。
だって、義務教育最後の修学旅行を共にする班が確定したのだから。
それに合わせて班ごとで固まるように席替えもした。

「よろしく」

後ろから声をかけられて振り向く。
この男の子は確か…

「蒼(あお)だったよね?」

口に出してから気づいた。
なんて失礼なやつなんだ。私といったことが。
内心焦りを含んでいたが、彼は目に弧を描いて楽しそうに言った。

「そうだよ。小学生の頃同じクラスになったことあったじゃん」

私が通う学校は、れっきとした公立中学校だ。
中学受験をしてみたいといってみたが、親には金銭的な面で却下された。
二年間通って感じたのは、この学校はだいぶ頭がイカれている。
私が中一の時の校長が「単元テスト」という週一で行われるテストを導入した。 もちろん、定期テストは廃止だ。
さらに、先生の質も悪い。
いや、親身に寄り添って話を聞いてくれる先生もいるのだが。
まあ、公立中学校なので主に二つの公立小学校から進学してくる人が多い。
彼とは同じ小学校出身で、六年間の中で一年間だけ同じクラスだった。

変わっていなかった。彼は。

あの頃と変わらない笑顔で、喋り方で、字で。
字は成長してくれないと困るのだけれど。
かっこいいよりかわいいが勝つような。

どうして彼がこの班にいるのか。
時を遡る。