「エミリーさん、元気になって何よりですわ」
「これもこれもロクサーヌ様が応援して下さったおかげです!」
病弱だった男爵令嬢、エミリーさんが、本日医者にもう大丈夫と太鼓判を押されたらしく、男爵家では喜びの祭り状態となっている!
「いや、エミリーさんが努力した結果でしょう、まぁ何でもいいですわ、とにかく結果が喜ばしいことなのだから!」
そう無駄にクールぶった私だが、本来私子爵家だから身分的には離れているわけではないのですが、病弱故に滅多に外に出なかったエミリーさんとは交流が無く、ある馬鹿によって、偶然関わる機会を得、今こうして仲良くすることになったのであった!
「ロクサーヌ!私はこれからエミリーの見舞いをいかないといけない、なんと言っても私がいないとエミリーは困ってしまうからな!」
また始まった、私はこれを浮気とか言い張る気は無い。
本当に病気で困っている人を放置しろなんて言いたくはないから。
でもこいつがムカつくことは、婚約者である私との約束をした日に限ってこういうことをほざくことである。
別に私と毎日会うわけでもないのだから、違う日に行っとけっつうの!
もちろんこれを抗議したこともあるが、「私も忙しいんだ仕方ないだろう!」の一点張りである。
嘘こけ、お前ごときがそんな忙しい分けないだろ!
呑気に下らない詩を作る時間があることを知らないと思っているのか!
「ならばいっそ私との会う約束なんか一切しなければいいんじゃないんですか?」
私もどうせこうなると思っているからオシャレも適当である。
ようはこいつからもらったものをつけることだけはしているが、それに合った組み合わせを一切考えずに、動きやすくて楽なもので固めているのだ!
「何を言うか!婚約者との交流は大事であろう!だから何でそんな酷いことを言うのだ!それに、なんだ?その格好は!婚約者と会うにしてはラフ過ぎないか?」
こいつが主張したいことはスケスケである、私が、「じゃあ何故約束しておいてエミリーの元に向かうのか」これを言おうものなら嬉々として、
「病弱なものを見捨てることなんてできない!君は人としての心がないのか!婚約者として注意する!そういうのはやめろ!」
などとイキりマウントを取りたいだけだと。
私はイライラしてきたので、「別に私がどんな格好をしようが、関係あるので?」
と他人事のように突き放してやった!
すると、
「婚約者だぞ!それと会うのにはマナーが必要であろう!」
どの口を開いてマナーと言えるのか不思議でならない。
だったら私と約束したのにそれを放置することはマナー違反にならないのかって話である!
すると、こいつは絶対に「病気のものを見捨てろというのか!」などと逆ギレをしてくるのだ。
こいつが伯爵家の馬鹿じゃなかったらとっくに殺してやりたいレベルである。
お父様に言いたいね、いくら相手のほうが身分がいいからって、ここまでこっちが卑屈な取引をする意味があるのかと!
「どうでもいいんで、さっさとエミリーさんのところに行ったらどうです?彼女待ってるんでしょ?かわいそうでしょ」
私はもう露骨にやる気の欠片も見せなくなった。
「お前は何故婚約者との関係をないがしろにしようとするのか!」
マジでこいつを許されるのなら、このままこいつが飲む紅茶に毒を入れて殺したい!
きっとこいつを殺しても神はお許しになるはずだ!
それくらいこいつの主張はゴミだと思う。
ようはこいつは無限の卑劣を繰り返しているのだ
1、自分は婚約者との関係を大事にしている
2、エミリーは病気だから見舞いが必要だ
3、よってエミリーを見舞いにいくのは仕方なく、反対したら人の心が無い
この三段卑劣論法で、常に自分は問題なく、私からしたら
1、いっそエミリーさんのところに常にいってこっちに来なければいいのに大事にしているって理屈で、叶えられない約束を聞かされることになる
2,それでいてエミリーさんの見舞いに行くことを約束違反だといえば、人の心がないと言われる
3、さらに私も病人を見捨てろというほど無情でもないから、私の優しさに漬け込んでいるだけではないか!
完全に詐欺師だ、よって殺していいだろって思うレベルである!
「いっそ婚約破棄してエミリーさんと婚約したらどうです?何故それをしないのか理解できないだけですわ」
渾身の嫌味である、だって私はこいつとの関係が破壊されればいいとしかもう思っていないからだ!
遠慮が無くなっているが全部こいつが悪い!
「馬鹿モノ!貴族として約束を守ることは大事だ!婚約破棄なんてできるわけないだろう!何てお前は非常識なんだ!」
「約束がそんなに大事なのです?」
「大事に決まっておろうが!」
「じゃあどうしてできもしない約束を毎回するのです!」
はぁーマジでこいつ死ねや!
破綻するにしても限度がある!
「馬鹿モノ!お前は色々間違っている、婚約ってのは軽い約束ではないんだ!重い約束と軽い約束は違う!次にお前との約束を反故になどしていないからこそ、今ここに来てやっているだろうが!だがエミリーが病弱ゆえに仕方ないだろう、お前は人の心が無いのか?」
その軽い重いはお前が勝手に決めたことだろ。
実際は婚約破棄が大変なのは、約束の重い軽いではなく、契約違反をした時のペナルティの重さに過ぎない。
ようはお前は私が罰を与えるほどの力が無いから増長してるだけだろうが!
もしも私が王女様で「そちよ無礼であるぞ!」って言えば泣いて謝るくせに、何約束の重い軽いなどとキチガイな戯言を言ってるんだ!
極論王女様がおっしゃることならば、平気で婚約破棄だってするだろうが!
つまり重さ軽さでは無く、ただの報復の脅威だけである!
それも分からないほど、私が世間知らずの馬鹿だと思っているのか!
仮にも貴族ならばその程度学習していて当然なのだ!
そうか私が力が無いのが問題なのか!
いやよく考えれば当たり前のことだが、今ふと気づいたのである!
ということで私は企むことにした!
力がないものは企む、これは昔から貴族がしてきたことですからね!
私ともあろうものが忘れているとは、まだまだ未熟であった!
「分かりました、人の心は大事ですよね?故に私もエミリー嬢を見舞いたいと思いますわ!」
エミリーがどういう奴か見極めることで、まずは策を立てることにした。
とりあえず勝手な予測だと、頭の悪い馬鹿女なので、エミリーを焚き付けて、このボケと浮気させれば、お父様と言えど、有利に婚約破棄が取れるので、きっとそうしようって決意してくれるに違いない。
ようは今までのレベルだと、ギリギリ浮気では無いと言い張れるからこそ、こっちからの婚約破棄が、よくて何も無し、悪いとこちらがペナルティとなるから、それならば我慢しろって言い張るだろうからだ!
でもこっちが有利になって金取れるのなら、別に応じますよね?
いくら相手が伯爵家だろうが!
黙って我慢するほうが馬鹿なのだ、私は堂々と策略を練って婚約破棄を勝ち得てやると誓ったのであった!
これもこれも、たかが子爵家であることが悪い。
あのボケが伯爵家じゃなかったら、こんな苦痛をしなくて済んだのに!
ああ、一度でいいから王女様になって、このボケに「黙れ死刑にするぞよ」とか言ってみたいと思うのであった!
……もちろん王家の方々がそんな甘く楽なわけではなく、我々貴族よりも大変な面があることを知らないほど、私も世間知らずでは無いのですが……!
「ダメだ!君が行ったら男爵家に迷惑になるだろう!」
はぁ??????????????????????
ふざけるなよお前……
お前今まで散々身分故の優位を自分はしておいて、何で私が格下の男爵家に気を使わないといけねぇんだボケが!
さらに私は別にエミリーさんを殴りつけに行くわけではない!
見舞いに行くと言ってるのに何だそれは!
「何故迷惑なのです?人の心があって見舞いをすることはいいことなんですよね?」
「お前は何も分かっていない!幼馴染の私が行くから意味があるのであって、知らないお前が行ったら迷惑であることすら分からないのか!」
「では何故さっき人の心とか言ったのです?」
「やはりお前は人の心が無いな!長年の付き合いがある私が行くことの価値を理解していないのだから!」
……こいつが人の心ってのを自分が都合がいいように使っていることがよく分かった!
だってこいつが言う人の心ってちゃんとした定義が無く、その都度自分の都合で使っているだけじゃない!
これがありならば、僕の言うことを聞かないから心が無いって言い張ることまでできる。
こんな無限の自由がある使い方が許されて言いわけが無い!
「では人の心とは長年の付き合いなので?」
「違う!人の心とは、長年の付き合いが大事であると理解することで、長年の付き合いそのものでは無い!」
本当にアホらし、長年の付き合いが大事ならば、じゃあ私との関わりなんて短いのだから、大事ですってアピールをするなよ死ねよ!
「じゃあ私との付き合いは短いのだから、私と意味の無い約束をやめて、常にエミリーさんのところにいったらどうです?」
「馬鹿モノ!婚約者であるお前との関わりは一生だろうが!長い付き合いになるのだから大事にして当然である!」
これって呪いでは?
だって論理的に言い切れるが、長い付き合いとは、お互い関係を続けていたいと思い続けるのを継続できた結果、ようは結果として達成できるもので、最初から長い付き合いって目標設定があるのがおかしいでは無いか。
いや目標だけならまだ分かるが、長い付き合いって結論だけあって、それを無理やり達成するのは絶対的におかしい。
こんなもの、ズルくて厚かましい奴だけが一方的に得をするだけで、善良なもの、または有能なものはひたすらたかられ損をするだけでは無いか!
ようは取引をいつでも関係をいつでも切れるからこそ、こういうクズであっても、相手に無茶を言えなくなるか、関わりを断つことで、こちらが安全になれるのだ!
つまりクズほど得をしていいそんなクソルールがあってはならない!
って婚約や結婚自体がある意味そうですね。
はぁ……!
せめてさぁ別に相手が私のために尽くして欲しいなんて寝言を言う気は無い。
それではこの……そういえば名前まだ言ってなかったな、このボケフィリップと同じになってしまうので、私はそういうのは望まない。
しかしせめて私と同程度は望みたいもので、私が一方的に損をする関係など、切って当然では無いか!
「はぁそうですね!」
私は一瞬露骨にやる気が無いを見せそうになったが、その後思い直した。
……こうなったら直接こいつに頼んでも無駄だ!
ひそかに秘密裏にこいつがいない間に男爵家に訪れて、エミリーの様子を見て、浮気を焚きつけるに限る!
問題は相手が会うことを拒否するといけないから、その前に見舞いの品でも送り、信用できる振りをしないとな。
だが問題はエミリーが私からの見舞い品が来たことを、このボケに言う可能性があるから、こいつが伯爵家の都合で、上手く長期に留守の間が狙い目である。
それを知るには、こいつがスケジュールを少し漏らすくらいの関係を一応作った振りをしないといけない!
そう思い直したからだ!
私は生まれつきそうだし、仮にも貴族令嬢として生まれたので、我慢が死ぬほど嫌いである!
がここは戦略的忍耐だ、このボケめ、てめーとだけは絶対に結婚しないからな!
こう誓っていたら……こいつやっぱ馬鹿だ!
自分にとって都合がいいことを言われるとすぐに機嫌が良くなるのか、
「やっと君も少しは分かったようだね、だが最初の返事がいただけないな!」
などと寝言を言うので、本当に蹴り飛ばしたい気分になるのだが、お前ごときの奴隷じゃねぇよこっちは!ってね。
だが、
「すみません、とっさのことで間違えただけです、私が悪かったようです!」
などと油断させることにした。
するとこいつマジで馬鹿だから、
「そうだ、そうやっていい婚約者になるように努力をしなさい!」
などと気持ちよくなっている。
あのさぁ、確かに世の淑女論では、こういう馬鹿でも気持ちよく持ち上げなさいって言われているが、私はこれは絶対に間違いだと思う。
本当に凄い方にたいして、イキったり、たいしたことないとほざくことは論外だと思う。
それは称賛しないといけない!
だがこいつはどう考えてもまごうこと無きクズでゴミである。
そんなのを持ち上げていい道理など無い!
私は正しく凄い人と、こんなクソの区分をしたいので、
凄い方もクソも同じようにいったら凄い方への無礼になる。
そしてクソを持ち上げることはクソが蔓延するのでクソになる。
この2つから、世の淑女論に私は断固反対である!
ああいうのって、こういうボケフィリップがいない前提で書かれてるんじゃないかしら!
本当にボケがいないほど世界が素敵であるのならば、淑女論みたいなマナー論だっていらないので、完全に論理破綻であると思いますけどね!
こうしてこのゴミの油断を狙っていたら、偶然こいつが、漏らした!
「しばらくの間視察などで忙しくなるから、君はその間も決してサボらずに、良き私の婚約者として勤めなさい!」
最近は私が下手に出た振りをしているので本性を表して上から目線でほざいている。
本当に蹴り殺したい気分になるのだが、馬鹿め騙されやがった!
一応裏も取ったが本当にしばらく留守になるみたいだ。
よしよしチャンスが巡ってきたぞ!
こうして私は手紙を添えて、エミリーに見舞いの品を送ると、まもなくすぐにお礼の手紙がやってきた!
「見舞いの品大変ありがとうございます、本来私はロクサーヌ様に迷惑をかけるだけの身でありながら大変恐縮であります」
などと丁寧な内容で書かれており、これならば見舞いも断れないだろうと読んで、見舞いを申し込んだら快く応じられたのであった!
よしよし、思ったよりもまともな令嬢なのか、それとも馬鹿過ぎて、私を信じているのか、どっちでもいいけど、最初の関門は突破できて何よりである!
ここで失敗すると大変なのでね!
こうして男爵家に約束の日に向かいエミリーと会うことに成功したのであった!
「ロクサーヌ様見舞いありがようございます、本来ならば私が訪れないといけない身分と、お品を頂いた身なのに、こんなにもありがたくして頂いて……」
などと物凄く恐縮されるので、これ演技ならば相当の役者だな、だったら気を引き締めないと!と思うのだが、ここまで演技派が、見舞いに応じる?いや演技に自信あるから応じるのか!などと私がちょっと堂々巡りな思考をしていると……
「いい機会なので、謝罪をしたいのですが、婚約者であるロクサーヌ様を差し置いて私の見舞いに来るフィリップ様について、もしもロクサーヌ様にご迷惑をおかけしているのでしたら、大変申し訳なく思います!」
などと謝罪から入るでは無いか……
ちょっと私は当てが外れたと思った。
こいつは馬鹿女だから、もっと嫉妬心丸出しか、またはイキりマウントを取って、私が愛されているのよみたいなことをしてくる馬鹿だと思っていたから、そこで焚き付ければ浮気を今までしていなくてもしようと動くだろうし、もうすでにしていたら、こいつから証拠を取れると思っていたからだ!
違うのか?
これ考えられるのは二択である。
1、まず本当に謝っている令嬢
これは私があんまり予想していなかったパターンである
2、これも全部演技であり、裏で何か企んでいるケース!
こっちだとしたら油断ならないが、でも私は別にフィリップをエミリーと取り合いたいわけでは無いので、場合によっては揉めなくて済むのである!
企みが、フィリップが欲しい以外の何か奇想天外な試みで無い限りはだ!
「いえ気になさらないで下さい、私も病気な方が苦しみのを助けたいと思うのは、人として当然だと考えているからで、だからこそ、本日遅くなりましたが、初めて見舞いに参じたのですから!」
いや〜後半は白々しいなと自分が思わなくは無い。
確かに病気の人を助けたいって気持ちが私にも0なわけではないが、そのために自分が何かをするまで言われると、それは嫌だなって思うことも分かるからである。
それでも助けるとしたら、やはり仲の良い人か、助けるとこっちが得があるからの二択だと思う。
世の中冷たいのである!
「本当に申し訳ありません、私も医者から一生こういうわけではなく、適度な運動と食事睡眠に気をつければ、令嬢として十分な範囲は回復すると言われているのですが、どうしてもつい自分に甘えてしまい……」
え?????????????
私はちょっと青天の霹靂であった。
あの馬鹿の言い方だと一生病弱かのように聞こえていたから、そういうものだと思っていたが、医者の言うことが本当ならば、そんなに酷いことでも無いじゃない!
てかその医者いいお医者さんじゃない!
「それは良いお医者様ですね、もちろんすべての医者がこうとは言いませんし、それを意図的にやるクズ医者は少ないでしょうが、医者というのは極論患者が元気にならないほうが、いつまでも仕事が無くならないし、さらに薬を出しておけばいいって考える無能が多い中、根本的な治療の提案をできるなんて、良いお医者様だと思いますわ!」
これは私がつい心から言ってしまったことである!
すると……
「そ……そうですよね?ロクサーヌ様のおっしゃるとおりですわ!」
などと何か感動したような目で見てくるでは無いか……!
「……あまり言いたくないことなのですが、それが分かっていて、運動とかはしてないので?もちろん辛いだろうからゆっくりすればいいのですが……」
私も今思えば言い過ぎのお節介な気がしないでも無いが、結果的にこれが刺さったのか……
「……そうですね、自分でもやらないといけないと思うのですが、ついみんなが優しくしてくれるので、それに甘えてしまって……!」
「……でもエミリーさんも元気になりたのでしょう?」
「もちろんです!」
何か構図が見えてきた、多分男爵家の人達は、心配なだけでエミリーさんが元気になってほしいと思っているに違いない。
故に、無理をしないでくれと思って、つい甘やかすことはありえても、根源的に元気になって欲しいのはあるはずだ!
だがその割にこのエミリーさんがいまいち運動ができていない原因!
その予測はきっとフィリップにある!
私はそう感じ取ったので質問することにする!
「もしかしてフィリップ様が、エミリーさんを一生守るから大丈夫みたいなことを言ってるのでは無いんですか?」
私が聞くと、エミリーさんが物凄い申し訳ない顔をして謝罪を開始する!
「……申し訳ありません、本来婚約者ができた時点で、私が断固として断るべきだったのですが、つい幼馴染との私とは特別だから、君は心配しなくていい、一生大丈夫だからと言われ、甘えていたのです、本当に申し訳ありませんでした!」
……私はあのボケにますます殺意を抱いた!
エミリーさんは気づいてないが、あいつは一生病弱なエミリーの方が都合がいいんだろ!
さっきいった悪い医者と同じである!
だから私は言ってやる!
「さっき言ったでしょう?本当に良いお医者様だなと、その良い医者に従って、元気になろうって気になりません?ようはフィリップ様に一生面倒見てもらうほうが嬉しいのなら別だけど、そうじゃないのならお医者様を信じてみたらどう?」
私はこれは心から思ったのだが、仮にフィリップとの関係が大事だと言い張るのならそれはそれで構わない、だったらここで手を組んで、あいつを奪ってもらうだけだから!
「いいえ、ロクサーヌ様と婚約しているフィリップ様に一生面倒を見てもらうなんて人として許されません!それにそれ抜きに私は元気になりたいのです!」
力強く言われ、私も何か応援したい気分になってきた!
いいね!
そして許せないのがあのゴミクズだ、お前自称自分が必要でエミリーさんのためになっているってずっと言い張っていたが、お前こそいつまでも病気を長引かせる元凶だろうが!
私はそれを確認するために最後の質問に出ることにした!
「エミリーさん?もしかしてフィリップ様は、君は無理をするなとか何とか言って、運動を阻止してきたのでは?」
「……そうですね、私を心配してそのようにいつも止められていました……!」
殺す!あいつは病弱なエミリーさんを見舞う優しい僕ってもののために、エミリーさんの改善を妨害してきたクズなのだ!
絶対に許さん!人として心が無いのはてめーだろうが!
絶対に許さんからな!
私はその報復のために、エミリーさんにある意味悪魔の囁きをすることに決めた!
「これからはフィリップなんかの言うことを無視して、お医者様のお言葉を聞くといいですわ!?」
「え!?」
私の何か悪い顔をした雰囲気に驚いたのかエミリーさんはびっくりした顔をしている!
「だって単純に考えて、お医者様が根拠無く元気になれるなんて言うわけも無く、きっとそれは正しいのですわ?それに反することを言うフィリップのほうが間違っているし、あいつお医者様がそう言ったことを知らないの?」
「いえ知っていますけど……」
「じゃあはっきり言うわ!あいつはエミリーさんに元気になって欲しくないのよ!」
「な……そんなまさか!?」
物凄い驚かれたが、私が説明してやるよ!
「だってエミリーさんが病弱ならいつまでもエミリーさんを見舞う優しい僕ってのを演じられるでしょう?でもお医者様は元気になれると言うのであれば、普通はそれに協力すべきなんよ!なのにそれをしないのは、クズな証拠!私はそれを許さないってだけ!」
私が力強く宣言をすると、思い当たる所があるのか、悩み出すのであった!
私は気を利かせて、「突然色々言ってごめんなさいね、色々考えたいこともあるでしょうから、今日は一度帰らせてもらうけど、また来ていいかしら?」
「は……はい本日はありがとうございました……」
と言っているが上の空って感じである。
後は私がごちゃごちゃ言うよりも、自分で考えてもらったほうがいいわね!
どうせあのドクズ、エミリーさんをずっと騙してたのでしょうが、今暴いてやりましたわよ!
後はエミリーさんに捨てられろ!
その時私は、エミリーさんが嫌がっていたのに押しかけていた、貴族としても人としてもクズってレッテルを貼って、浮気しようとしていたとしてもクズ、違ったとしても無能だからクソ、こういう論法で婚約破棄に持っていってやるよ!
こうしてエミリーさんとはしばらく時々やりとりをしていたのだが、ついにフィリップが戻ってきてエミリーさんと会った時に、決定的なことがあったのであった!
エミリーさんの見舞いに行くと、エミリーさんが物凄い興奮をしていた!
「ロクサーヌ様のおっしゃる通りでしたわ!」
話を聞くと、エミリーさんが色々質問をするので、フィリップがそれを嫌がるので、不審に思ったエミリーさんが何か上手く試すようなことをしたらしい。
私には2人の関係性がそこまで分からないから、2人だけで通じるやりとりだったっぽいけど、それによって、ようは、もちろんここまで直接は言ってないが、エミリーさんからしたら、「お前は病気のままでいいんだ、俺が一生見舞うから」って言われたも同然のことを言われたらしい。
それにより、当然激怒したってわけだ!
「フィリップ様は、私のことを本当に心配して下さったわけでは無かったんです!もう許せませんわ!」
そりゃ私と違って付き合いも長いわけで、その分怒りも凄いことになりますよね……
良かったなフィリップ、付き合いが長いことは大事なんだろ?その長さ故にここまで怒らせることになったんだ!
いかにてめーが不適切野郎かってことなんだよ!やっぱりお前は死ね!
「私もあいつのことは大嫌いで婚約破棄したいのよ!だから2人であいつをはめてしまおう!」
「そんなことできるんですか?」
「簡単よ、エミリーさんが断った上で、声を出せばいいのよ!私は婚約者がいるフィリップ様の見舞いを断りたいのですが、それを認めてくださらないと!」
「なるほど?でもそれでどうなるのです?」
「簡単よ、私の側もそれに呼応して、エミリーさんと浮気したいと下心を出しての行為ならば、浮気と否定されても付きまおう紳士失格って意味で婚約破棄できるし、下心がないと言いはった所で、嫌がる令嬢の元押しかけた無能ってレッテルで、それなりになんとでもなりますわ!」
「でも……それで私大丈夫なのでしょうか?」
「乗りかかった船よ!医者のいう運動とやら、私が何かできるかって言えば何もできないけど、クソフィリップの野郎を否定したい執念もあって、エミリーさんを私が応援するわ!」
「それは心強いです!」
いや単なる応援をするだけで私何ぞ役に立たないのだが、それでやる気を出すのは何より!
こうしてフィリップは馬鹿無能貴族の烙印が押されて婚約破棄も成功した。
そしてエミリーさんはその後本当によく頑張っていた。私からみても大変そうで、
つい「だ……大丈夫?」とゼーゼー言ってるエミリーさんを助けたくなったのだが、
「平気です!」と頑張るので、私は何も言えなくなった……
この子根性凄くない?何か目覚めたのかしら?
もしも生まれつき丈夫だったら、もっと凄い令嬢になったかも知れないと思うレベルである!
こうして元気になったエミリーさんと私は、その後も長い友情が残るのだが、フィリップがどうなったかというと、ほとんど役立たず扱いで幽閉されているのですが、私達からしたら知ったことでは無い!
お前は本気でクズでゴミだったが、エミリーさんとの長い付き合いのきっかけになった点だけは良かったと思いますけどね!
「これもこれもロクサーヌ様が応援して下さったおかげです!」
病弱だった男爵令嬢、エミリーさんが、本日医者にもう大丈夫と太鼓判を押されたらしく、男爵家では喜びの祭り状態となっている!
「いや、エミリーさんが努力した結果でしょう、まぁ何でもいいですわ、とにかく結果が喜ばしいことなのだから!」
そう無駄にクールぶった私だが、本来私子爵家だから身分的には離れているわけではないのですが、病弱故に滅多に外に出なかったエミリーさんとは交流が無く、ある馬鹿によって、偶然関わる機会を得、今こうして仲良くすることになったのであった!
「ロクサーヌ!私はこれからエミリーの見舞いをいかないといけない、なんと言っても私がいないとエミリーは困ってしまうからな!」
また始まった、私はこれを浮気とか言い張る気は無い。
本当に病気で困っている人を放置しろなんて言いたくはないから。
でもこいつがムカつくことは、婚約者である私との約束をした日に限ってこういうことをほざくことである。
別に私と毎日会うわけでもないのだから、違う日に行っとけっつうの!
もちろんこれを抗議したこともあるが、「私も忙しいんだ仕方ないだろう!」の一点張りである。
嘘こけ、お前ごときがそんな忙しい分けないだろ!
呑気に下らない詩を作る時間があることを知らないと思っているのか!
「ならばいっそ私との会う約束なんか一切しなければいいんじゃないんですか?」
私もどうせこうなると思っているからオシャレも適当である。
ようはこいつからもらったものをつけることだけはしているが、それに合った組み合わせを一切考えずに、動きやすくて楽なもので固めているのだ!
「何を言うか!婚約者との交流は大事であろう!だから何でそんな酷いことを言うのだ!それに、なんだ?その格好は!婚約者と会うにしてはラフ過ぎないか?」
こいつが主張したいことはスケスケである、私が、「じゃあ何故約束しておいてエミリーの元に向かうのか」これを言おうものなら嬉々として、
「病弱なものを見捨てることなんてできない!君は人としての心がないのか!婚約者として注意する!そういうのはやめろ!」
などとイキりマウントを取りたいだけだと。
私はイライラしてきたので、「別に私がどんな格好をしようが、関係あるので?」
と他人事のように突き放してやった!
すると、
「婚約者だぞ!それと会うのにはマナーが必要であろう!」
どの口を開いてマナーと言えるのか不思議でならない。
だったら私と約束したのにそれを放置することはマナー違反にならないのかって話である!
すると、こいつは絶対に「病気のものを見捨てろというのか!」などと逆ギレをしてくるのだ。
こいつが伯爵家の馬鹿じゃなかったらとっくに殺してやりたいレベルである。
お父様に言いたいね、いくら相手のほうが身分がいいからって、ここまでこっちが卑屈な取引をする意味があるのかと!
「どうでもいいんで、さっさとエミリーさんのところに行ったらどうです?彼女待ってるんでしょ?かわいそうでしょ」
私はもう露骨にやる気の欠片も見せなくなった。
「お前は何故婚約者との関係をないがしろにしようとするのか!」
マジでこいつを許されるのなら、このままこいつが飲む紅茶に毒を入れて殺したい!
きっとこいつを殺しても神はお許しになるはずだ!
それくらいこいつの主張はゴミだと思う。
ようはこいつは無限の卑劣を繰り返しているのだ
1、自分は婚約者との関係を大事にしている
2、エミリーは病気だから見舞いが必要だ
3、よってエミリーを見舞いにいくのは仕方なく、反対したら人の心が無い
この三段卑劣論法で、常に自分は問題なく、私からしたら
1、いっそエミリーさんのところに常にいってこっちに来なければいいのに大事にしているって理屈で、叶えられない約束を聞かされることになる
2,それでいてエミリーさんの見舞いに行くことを約束違反だといえば、人の心がないと言われる
3、さらに私も病人を見捨てろというほど無情でもないから、私の優しさに漬け込んでいるだけではないか!
完全に詐欺師だ、よって殺していいだろって思うレベルである!
「いっそ婚約破棄してエミリーさんと婚約したらどうです?何故それをしないのか理解できないだけですわ」
渾身の嫌味である、だって私はこいつとの関係が破壊されればいいとしかもう思っていないからだ!
遠慮が無くなっているが全部こいつが悪い!
「馬鹿モノ!貴族として約束を守ることは大事だ!婚約破棄なんてできるわけないだろう!何てお前は非常識なんだ!」
「約束がそんなに大事なのです?」
「大事に決まっておろうが!」
「じゃあどうしてできもしない約束を毎回するのです!」
はぁーマジでこいつ死ねや!
破綻するにしても限度がある!
「馬鹿モノ!お前は色々間違っている、婚約ってのは軽い約束ではないんだ!重い約束と軽い約束は違う!次にお前との約束を反故になどしていないからこそ、今ここに来てやっているだろうが!だがエミリーが病弱ゆえに仕方ないだろう、お前は人の心が無いのか?」
その軽い重いはお前が勝手に決めたことだろ。
実際は婚約破棄が大変なのは、約束の重い軽いではなく、契約違反をした時のペナルティの重さに過ぎない。
ようはお前は私が罰を与えるほどの力が無いから増長してるだけだろうが!
もしも私が王女様で「そちよ無礼であるぞ!」って言えば泣いて謝るくせに、何約束の重い軽いなどとキチガイな戯言を言ってるんだ!
極論王女様がおっしゃることならば、平気で婚約破棄だってするだろうが!
つまり重さ軽さでは無く、ただの報復の脅威だけである!
それも分からないほど、私が世間知らずの馬鹿だと思っているのか!
仮にも貴族ならばその程度学習していて当然なのだ!
そうか私が力が無いのが問題なのか!
いやよく考えれば当たり前のことだが、今ふと気づいたのである!
ということで私は企むことにした!
力がないものは企む、これは昔から貴族がしてきたことですからね!
私ともあろうものが忘れているとは、まだまだ未熟であった!
「分かりました、人の心は大事ですよね?故に私もエミリー嬢を見舞いたいと思いますわ!」
エミリーがどういう奴か見極めることで、まずは策を立てることにした。
とりあえず勝手な予測だと、頭の悪い馬鹿女なので、エミリーを焚き付けて、このボケと浮気させれば、お父様と言えど、有利に婚約破棄が取れるので、きっとそうしようって決意してくれるに違いない。
ようは今までのレベルだと、ギリギリ浮気では無いと言い張れるからこそ、こっちからの婚約破棄が、よくて何も無し、悪いとこちらがペナルティとなるから、それならば我慢しろって言い張るだろうからだ!
でもこっちが有利になって金取れるのなら、別に応じますよね?
いくら相手が伯爵家だろうが!
黙って我慢するほうが馬鹿なのだ、私は堂々と策略を練って婚約破棄を勝ち得てやると誓ったのであった!
これもこれも、たかが子爵家であることが悪い。
あのボケが伯爵家じゃなかったら、こんな苦痛をしなくて済んだのに!
ああ、一度でいいから王女様になって、このボケに「黙れ死刑にするぞよ」とか言ってみたいと思うのであった!
……もちろん王家の方々がそんな甘く楽なわけではなく、我々貴族よりも大変な面があることを知らないほど、私も世間知らずでは無いのですが……!
「ダメだ!君が行ったら男爵家に迷惑になるだろう!」
はぁ??????????????????????
ふざけるなよお前……
お前今まで散々身分故の優位を自分はしておいて、何で私が格下の男爵家に気を使わないといけねぇんだボケが!
さらに私は別にエミリーさんを殴りつけに行くわけではない!
見舞いに行くと言ってるのに何だそれは!
「何故迷惑なのです?人の心があって見舞いをすることはいいことなんですよね?」
「お前は何も分かっていない!幼馴染の私が行くから意味があるのであって、知らないお前が行ったら迷惑であることすら分からないのか!」
「では何故さっき人の心とか言ったのです?」
「やはりお前は人の心が無いな!長年の付き合いがある私が行くことの価値を理解していないのだから!」
……こいつが人の心ってのを自分が都合がいいように使っていることがよく分かった!
だってこいつが言う人の心ってちゃんとした定義が無く、その都度自分の都合で使っているだけじゃない!
これがありならば、僕の言うことを聞かないから心が無いって言い張ることまでできる。
こんな無限の自由がある使い方が許されて言いわけが無い!
「では人の心とは長年の付き合いなので?」
「違う!人の心とは、長年の付き合いが大事であると理解することで、長年の付き合いそのものでは無い!」
本当にアホらし、長年の付き合いが大事ならば、じゃあ私との関わりなんて短いのだから、大事ですってアピールをするなよ死ねよ!
「じゃあ私との付き合いは短いのだから、私と意味の無い約束をやめて、常にエミリーさんのところにいったらどうです?」
「馬鹿モノ!婚約者であるお前との関わりは一生だろうが!長い付き合いになるのだから大事にして当然である!」
これって呪いでは?
だって論理的に言い切れるが、長い付き合いとは、お互い関係を続けていたいと思い続けるのを継続できた結果、ようは結果として達成できるもので、最初から長い付き合いって目標設定があるのがおかしいでは無いか。
いや目標だけならまだ分かるが、長い付き合いって結論だけあって、それを無理やり達成するのは絶対的におかしい。
こんなもの、ズルくて厚かましい奴だけが一方的に得をするだけで、善良なもの、または有能なものはひたすらたかられ損をするだけでは無いか!
ようは取引をいつでも関係をいつでも切れるからこそ、こういうクズであっても、相手に無茶を言えなくなるか、関わりを断つことで、こちらが安全になれるのだ!
つまりクズほど得をしていいそんなクソルールがあってはならない!
って婚約や結婚自体がある意味そうですね。
はぁ……!
せめてさぁ別に相手が私のために尽くして欲しいなんて寝言を言う気は無い。
それではこの……そういえば名前まだ言ってなかったな、このボケフィリップと同じになってしまうので、私はそういうのは望まない。
しかしせめて私と同程度は望みたいもので、私が一方的に損をする関係など、切って当然では無いか!
「はぁそうですね!」
私は一瞬露骨にやる気が無いを見せそうになったが、その後思い直した。
……こうなったら直接こいつに頼んでも無駄だ!
ひそかに秘密裏にこいつがいない間に男爵家に訪れて、エミリーの様子を見て、浮気を焚きつけるに限る!
問題は相手が会うことを拒否するといけないから、その前に見舞いの品でも送り、信用できる振りをしないとな。
だが問題はエミリーが私からの見舞い品が来たことを、このボケに言う可能性があるから、こいつが伯爵家の都合で、上手く長期に留守の間が狙い目である。
それを知るには、こいつがスケジュールを少し漏らすくらいの関係を一応作った振りをしないといけない!
そう思い直したからだ!
私は生まれつきそうだし、仮にも貴族令嬢として生まれたので、我慢が死ぬほど嫌いである!
がここは戦略的忍耐だ、このボケめ、てめーとだけは絶対に結婚しないからな!
こう誓っていたら……こいつやっぱ馬鹿だ!
自分にとって都合がいいことを言われるとすぐに機嫌が良くなるのか、
「やっと君も少しは分かったようだね、だが最初の返事がいただけないな!」
などと寝言を言うので、本当に蹴り飛ばしたい気分になるのだが、お前ごときの奴隷じゃねぇよこっちは!ってね。
だが、
「すみません、とっさのことで間違えただけです、私が悪かったようです!」
などと油断させることにした。
するとこいつマジで馬鹿だから、
「そうだ、そうやっていい婚約者になるように努力をしなさい!」
などと気持ちよくなっている。
あのさぁ、確かに世の淑女論では、こういう馬鹿でも気持ちよく持ち上げなさいって言われているが、私はこれは絶対に間違いだと思う。
本当に凄い方にたいして、イキったり、たいしたことないとほざくことは論外だと思う。
それは称賛しないといけない!
だがこいつはどう考えてもまごうこと無きクズでゴミである。
そんなのを持ち上げていい道理など無い!
私は正しく凄い人と、こんなクソの区分をしたいので、
凄い方もクソも同じようにいったら凄い方への無礼になる。
そしてクソを持ち上げることはクソが蔓延するのでクソになる。
この2つから、世の淑女論に私は断固反対である!
ああいうのって、こういうボケフィリップがいない前提で書かれてるんじゃないかしら!
本当にボケがいないほど世界が素敵であるのならば、淑女論みたいなマナー論だっていらないので、完全に論理破綻であると思いますけどね!
こうしてこのゴミの油断を狙っていたら、偶然こいつが、漏らした!
「しばらくの間視察などで忙しくなるから、君はその間も決してサボらずに、良き私の婚約者として勤めなさい!」
最近は私が下手に出た振りをしているので本性を表して上から目線でほざいている。
本当に蹴り殺したい気分になるのだが、馬鹿め騙されやがった!
一応裏も取ったが本当にしばらく留守になるみたいだ。
よしよしチャンスが巡ってきたぞ!
こうして私は手紙を添えて、エミリーに見舞いの品を送ると、まもなくすぐにお礼の手紙がやってきた!
「見舞いの品大変ありがとうございます、本来私はロクサーヌ様に迷惑をかけるだけの身でありながら大変恐縮であります」
などと丁寧な内容で書かれており、これならば見舞いも断れないだろうと読んで、見舞いを申し込んだら快く応じられたのであった!
よしよし、思ったよりもまともな令嬢なのか、それとも馬鹿過ぎて、私を信じているのか、どっちでもいいけど、最初の関門は突破できて何よりである!
ここで失敗すると大変なのでね!
こうして男爵家に約束の日に向かいエミリーと会うことに成功したのであった!
「ロクサーヌ様見舞いありがようございます、本来ならば私が訪れないといけない身分と、お品を頂いた身なのに、こんなにもありがたくして頂いて……」
などと物凄く恐縮されるので、これ演技ならば相当の役者だな、だったら気を引き締めないと!と思うのだが、ここまで演技派が、見舞いに応じる?いや演技に自信あるから応じるのか!などと私がちょっと堂々巡りな思考をしていると……
「いい機会なので、謝罪をしたいのですが、婚約者であるロクサーヌ様を差し置いて私の見舞いに来るフィリップ様について、もしもロクサーヌ様にご迷惑をおかけしているのでしたら、大変申し訳なく思います!」
などと謝罪から入るでは無いか……
ちょっと私は当てが外れたと思った。
こいつは馬鹿女だから、もっと嫉妬心丸出しか、またはイキりマウントを取って、私が愛されているのよみたいなことをしてくる馬鹿だと思っていたから、そこで焚き付ければ浮気を今までしていなくてもしようと動くだろうし、もうすでにしていたら、こいつから証拠を取れると思っていたからだ!
違うのか?
これ考えられるのは二択である。
1、まず本当に謝っている令嬢
これは私があんまり予想していなかったパターンである
2、これも全部演技であり、裏で何か企んでいるケース!
こっちだとしたら油断ならないが、でも私は別にフィリップをエミリーと取り合いたいわけでは無いので、場合によっては揉めなくて済むのである!
企みが、フィリップが欲しい以外の何か奇想天外な試みで無い限りはだ!
「いえ気になさらないで下さい、私も病気な方が苦しみのを助けたいと思うのは、人として当然だと考えているからで、だからこそ、本日遅くなりましたが、初めて見舞いに参じたのですから!」
いや〜後半は白々しいなと自分が思わなくは無い。
確かに病気の人を助けたいって気持ちが私にも0なわけではないが、そのために自分が何かをするまで言われると、それは嫌だなって思うことも分かるからである。
それでも助けるとしたら、やはり仲の良い人か、助けるとこっちが得があるからの二択だと思う。
世の中冷たいのである!
「本当に申し訳ありません、私も医者から一生こういうわけではなく、適度な運動と食事睡眠に気をつければ、令嬢として十分な範囲は回復すると言われているのですが、どうしてもつい自分に甘えてしまい……」
え?????????????
私はちょっと青天の霹靂であった。
あの馬鹿の言い方だと一生病弱かのように聞こえていたから、そういうものだと思っていたが、医者の言うことが本当ならば、そんなに酷いことでも無いじゃない!
てかその医者いいお医者さんじゃない!
「それは良いお医者様ですね、もちろんすべての医者がこうとは言いませんし、それを意図的にやるクズ医者は少ないでしょうが、医者というのは極論患者が元気にならないほうが、いつまでも仕事が無くならないし、さらに薬を出しておけばいいって考える無能が多い中、根本的な治療の提案をできるなんて、良いお医者様だと思いますわ!」
これは私がつい心から言ってしまったことである!
すると……
「そ……そうですよね?ロクサーヌ様のおっしゃるとおりですわ!」
などと何か感動したような目で見てくるでは無いか……!
「……あまり言いたくないことなのですが、それが分かっていて、運動とかはしてないので?もちろん辛いだろうからゆっくりすればいいのですが……」
私も今思えば言い過ぎのお節介な気がしないでも無いが、結果的にこれが刺さったのか……
「……そうですね、自分でもやらないといけないと思うのですが、ついみんなが優しくしてくれるので、それに甘えてしまって……!」
「……でもエミリーさんも元気になりたのでしょう?」
「もちろんです!」
何か構図が見えてきた、多分男爵家の人達は、心配なだけでエミリーさんが元気になってほしいと思っているに違いない。
故に、無理をしないでくれと思って、つい甘やかすことはありえても、根源的に元気になって欲しいのはあるはずだ!
だがその割にこのエミリーさんがいまいち運動ができていない原因!
その予測はきっとフィリップにある!
私はそう感じ取ったので質問することにする!
「もしかしてフィリップ様が、エミリーさんを一生守るから大丈夫みたいなことを言ってるのでは無いんですか?」
私が聞くと、エミリーさんが物凄い申し訳ない顔をして謝罪を開始する!
「……申し訳ありません、本来婚約者ができた時点で、私が断固として断るべきだったのですが、つい幼馴染との私とは特別だから、君は心配しなくていい、一生大丈夫だからと言われ、甘えていたのです、本当に申し訳ありませんでした!」
……私はあのボケにますます殺意を抱いた!
エミリーさんは気づいてないが、あいつは一生病弱なエミリーの方が都合がいいんだろ!
さっきいった悪い医者と同じである!
だから私は言ってやる!
「さっき言ったでしょう?本当に良いお医者様だなと、その良い医者に従って、元気になろうって気になりません?ようはフィリップ様に一生面倒見てもらうほうが嬉しいのなら別だけど、そうじゃないのならお医者様を信じてみたらどう?」
私はこれは心から思ったのだが、仮にフィリップとの関係が大事だと言い張るのならそれはそれで構わない、だったらここで手を組んで、あいつを奪ってもらうだけだから!
「いいえ、ロクサーヌ様と婚約しているフィリップ様に一生面倒を見てもらうなんて人として許されません!それにそれ抜きに私は元気になりたいのです!」
力強く言われ、私も何か応援したい気分になってきた!
いいね!
そして許せないのがあのゴミクズだ、お前自称自分が必要でエミリーさんのためになっているってずっと言い張っていたが、お前こそいつまでも病気を長引かせる元凶だろうが!
私はそれを確認するために最後の質問に出ることにした!
「エミリーさん?もしかしてフィリップ様は、君は無理をするなとか何とか言って、運動を阻止してきたのでは?」
「……そうですね、私を心配してそのようにいつも止められていました……!」
殺す!あいつは病弱なエミリーさんを見舞う優しい僕ってもののために、エミリーさんの改善を妨害してきたクズなのだ!
絶対に許さん!人として心が無いのはてめーだろうが!
絶対に許さんからな!
私はその報復のために、エミリーさんにある意味悪魔の囁きをすることに決めた!
「これからはフィリップなんかの言うことを無視して、お医者様のお言葉を聞くといいですわ!?」
「え!?」
私の何か悪い顔をした雰囲気に驚いたのかエミリーさんはびっくりした顔をしている!
「だって単純に考えて、お医者様が根拠無く元気になれるなんて言うわけも無く、きっとそれは正しいのですわ?それに反することを言うフィリップのほうが間違っているし、あいつお医者様がそう言ったことを知らないの?」
「いえ知っていますけど……」
「じゃあはっきり言うわ!あいつはエミリーさんに元気になって欲しくないのよ!」
「な……そんなまさか!?」
物凄い驚かれたが、私が説明してやるよ!
「だってエミリーさんが病弱ならいつまでもエミリーさんを見舞う優しい僕ってのを演じられるでしょう?でもお医者様は元気になれると言うのであれば、普通はそれに協力すべきなんよ!なのにそれをしないのは、クズな証拠!私はそれを許さないってだけ!」
私が力強く宣言をすると、思い当たる所があるのか、悩み出すのであった!
私は気を利かせて、「突然色々言ってごめんなさいね、色々考えたいこともあるでしょうから、今日は一度帰らせてもらうけど、また来ていいかしら?」
「は……はい本日はありがとうございました……」
と言っているが上の空って感じである。
後は私がごちゃごちゃ言うよりも、自分で考えてもらったほうがいいわね!
どうせあのドクズ、エミリーさんをずっと騙してたのでしょうが、今暴いてやりましたわよ!
後はエミリーさんに捨てられろ!
その時私は、エミリーさんが嫌がっていたのに押しかけていた、貴族としても人としてもクズってレッテルを貼って、浮気しようとしていたとしてもクズ、違ったとしても無能だからクソ、こういう論法で婚約破棄に持っていってやるよ!
こうしてエミリーさんとはしばらく時々やりとりをしていたのだが、ついにフィリップが戻ってきてエミリーさんと会った時に、決定的なことがあったのであった!
エミリーさんの見舞いに行くと、エミリーさんが物凄い興奮をしていた!
「ロクサーヌ様のおっしゃる通りでしたわ!」
話を聞くと、エミリーさんが色々質問をするので、フィリップがそれを嫌がるので、不審に思ったエミリーさんが何か上手く試すようなことをしたらしい。
私には2人の関係性がそこまで分からないから、2人だけで通じるやりとりだったっぽいけど、それによって、ようは、もちろんここまで直接は言ってないが、エミリーさんからしたら、「お前は病気のままでいいんだ、俺が一生見舞うから」って言われたも同然のことを言われたらしい。
それにより、当然激怒したってわけだ!
「フィリップ様は、私のことを本当に心配して下さったわけでは無かったんです!もう許せませんわ!」
そりゃ私と違って付き合いも長いわけで、その分怒りも凄いことになりますよね……
良かったなフィリップ、付き合いが長いことは大事なんだろ?その長さ故にここまで怒らせることになったんだ!
いかにてめーが不適切野郎かってことなんだよ!やっぱりお前は死ね!
「私もあいつのことは大嫌いで婚約破棄したいのよ!だから2人であいつをはめてしまおう!」
「そんなことできるんですか?」
「簡単よ、エミリーさんが断った上で、声を出せばいいのよ!私は婚約者がいるフィリップ様の見舞いを断りたいのですが、それを認めてくださらないと!」
「なるほど?でもそれでどうなるのです?」
「簡単よ、私の側もそれに呼応して、エミリーさんと浮気したいと下心を出しての行為ならば、浮気と否定されても付きまおう紳士失格って意味で婚約破棄できるし、下心がないと言いはった所で、嫌がる令嬢の元押しかけた無能ってレッテルで、それなりになんとでもなりますわ!」
「でも……それで私大丈夫なのでしょうか?」
「乗りかかった船よ!医者のいう運動とやら、私が何かできるかって言えば何もできないけど、クソフィリップの野郎を否定したい執念もあって、エミリーさんを私が応援するわ!」
「それは心強いです!」
いや単なる応援をするだけで私何ぞ役に立たないのだが、それでやる気を出すのは何より!
こうしてフィリップは馬鹿無能貴族の烙印が押されて婚約破棄も成功した。
そしてエミリーさんはその後本当によく頑張っていた。私からみても大変そうで、
つい「だ……大丈夫?」とゼーゼー言ってるエミリーさんを助けたくなったのだが、
「平気です!」と頑張るので、私は何も言えなくなった……
この子根性凄くない?何か目覚めたのかしら?
もしも生まれつき丈夫だったら、もっと凄い令嬢になったかも知れないと思うレベルである!
こうして元気になったエミリーさんと私は、その後も長い友情が残るのだが、フィリップがどうなったかというと、ほとんど役立たず扱いで幽閉されているのですが、私達からしたら知ったことでは無い!
お前は本気でクズでゴミだったが、エミリーさんとの長い付き合いのきっかけになった点だけは良かったと思いますけどね!

