帰宅して夕飯の準備をさっさと済ませた。
そうこうしているうちに姉からメッセージが来て、今から帰るとのこと。
父は一番風呂に入っていて、家族に対するやれることはやりきってこれからはようやく自分の時間だ。
勉強、しなきゃな。
自室に向かおうと、階段に足をかける。
自分の右足を見つめていると、さっきのシロの顔が思い浮かんだ。
大丈夫と言って笑ってたけど、本当は痛かったはずだ。
あの日、オレは間違えた。
そう、思った。
なら、今だってきっとこのままじゃ間違える。
間違えたままだ。
今ならまだ書き換えられる。
オレが思う正解を導き出せる。
なら、すべきことはただ一つ。
オレは連絡先を交換してから一度も使っていなかったトーク画面にメッセージを送った。
返事を待つ間に家にあった湿布や水をバッグに入れ、父にメモを残し家を出た。
だが、5分くらい経っても一向に既読はつかない。
歩き始めて人にもまれて気が付かないのならいいが、そうじゃなくて何かあったとしたら…。
なんて、なんでこんなに心配しているのか自分でもわからないけど。
明確な理由なんて探している暇はない。
とにかく早く見つけて無事なのか確かめないと。
…はあ。
こうなるなら、最初からちゃんと聞けばよかった。
オレ、だせーわ。
超絶、かっこ悪い。
そんな自分に腹が立って、いやでも足がひゅんひゅんと加速していく。
あっという間にさっきシロと会った時の鐘が視界に入るところまできた。
シロがいないか見回すも、それらしき姿は見えない。
骨折り損だったか。
と肩を落としかけた、その時。
「足痛いの?俺が送って行ってあげようか?」
「いえ、大丈夫です。歩けてるので」
「でも、そんな歩き方じゃいつまでも家帰れないよ?おにいさんがおんぶしてあげようか?」
「だ、大丈夫です…」
シロに大学生くらいの男がしつこくつきまとっていた。
オレはすかさず駆け寄った。
「あ、すみません。そいつオレの妹なんですけど、妹がおにいさんになんかしちゃいました?」
「え?あ、いや。な、なんだお兄ちゃんと来てたのか。あはは、じゃあ、俺はこれで…」
「はーい、どーもー」
仲間でも連れてたら厄介だと思ったけど、案外瞬殺できてよかった。
なんてホッとしている場合ではない。
オレは肩を小刻みに震わせ、しゃがみかんでしまったシロに声をかける。
「シロ、もう大丈夫だから」
「…はい」
声まで震えてると思ったら、ぎゅっと唇を結んでいた。
泣くの、我慢してんだな。
泣いたらオレを困らせるから。
たぶん、その思考で合ってる。
泣こうが泣くまいが
もうここにきている時点で
オレの頭ん中は
シロでいっぱいなんだけど。
どう責任を取ってくれるつもりなんだか。
このペットみたいな後輩は。
「足、まだ痛いんでしょ?」
「…ごめんなさい」
「何が」
「先輩に迷惑かけちゃって。この前も今も余計な事ばかりして…。こんなこと…ために……いのに」
最後のほうは周りがうるさいのに反比例してデクレシェンドしたから聞き取れなかったけど、どうせオレへの謝罪だろう。
そんな後ろめたい気持ちをもたせるためにここにいるんじゃないし。
でも、引き金引いたのはオレか。
シロの好意を勝手にネガティブにとらえて歪めてポイって簡単に捨てた。
なら、まずは謝んなきゃな。
オレはしゃがみこんだ。
「シロ、もっかい聞くけど、足、痛い?」
「だいじょ…」
「嘘。へたくそな嘘ならつかなくていいから。顔に出てる」
「…わかりました。なら、嘘はつきません。…足痛くて、うまく、歩けないので、その…」
オレは背を向けた。
今まで運動部に入ってた経験なんてないし、最近は勉強ばっかで体力が落ちてて正直自分でも運びきれるか未知数だけど、
こんくらいの荷物なら、引き受けるよ。
「あの」
「つべこべいわないで早く乗って」
「あ、いや、あの…そうじゃなくて。えっと、も、もしかして初めてですか?」
「は?」
大衆が見てて顔から火が出そうなくらい恥ずかしいから一刻も早くここから立ち去りたいってのに、この期に及んで何を言ってるんだ?
「だ、誰かを、背中に乗せるのは、は、初めて、でしょうか?」
「だったら何?」
こんな経験人生で何度もあってたまるかって。
「…嬉しいです。けがの功名、です」
「分かったから、ほら、早く」
「はい…!」
足が痛いなんてのは嘘なのかと思えるほど勢いよく体重をかけられた。
よいしょっと。
ま、こんくらい余裕。
シロが小柄で助かったわ。
「んじゃ、家まで送り届けるから道案内して」
「あ、はい」
そうこうしているうちに姉からメッセージが来て、今から帰るとのこと。
父は一番風呂に入っていて、家族に対するやれることはやりきってこれからはようやく自分の時間だ。
勉強、しなきゃな。
自室に向かおうと、階段に足をかける。
自分の右足を見つめていると、さっきのシロの顔が思い浮かんだ。
大丈夫と言って笑ってたけど、本当は痛かったはずだ。
あの日、オレは間違えた。
そう、思った。
なら、今だってきっとこのままじゃ間違える。
間違えたままだ。
今ならまだ書き換えられる。
オレが思う正解を導き出せる。
なら、すべきことはただ一つ。
オレは連絡先を交換してから一度も使っていなかったトーク画面にメッセージを送った。
返事を待つ間に家にあった湿布や水をバッグに入れ、父にメモを残し家を出た。
だが、5分くらい経っても一向に既読はつかない。
歩き始めて人にもまれて気が付かないのならいいが、そうじゃなくて何かあったとしたら…。
なんて、なんでこんなに心配しているのか自分でもわからないけど。
明確な理由なんて探している暇はない。
とにかく早く見つけて無事なのか確かめないと。
…はあ。
こうなるなら、最初からちゃんと聞けばよかった。
オレ、だせーわ。
超絶、かっこ悪い。
そんな自分に腹が立って、いやでも足がひゅんひゅんと加速していく。
あっという間にさっきシロと会った時の鐘が視界に入るところまできた。
シロがいないか見回すも、それらしき姿は見えない。
骨折り損だったか。
と肩を落としかけた、その時。
「足痛いの?俺が送って行ってあげようか?」
「いえ、大丈夫です。歩けてるので」
「でも、そんな歩き方じゃいつまでも家帰れないよ?おにいさんがおんぶしてあげようか?」
「だ、大丈夫です…」
シロに大学生くらいの男がしつこくつきまとっていた。
オレはすかさず駆け寄った。
「あ、すみません。そいつオレの妹なんですけど、妹がおにいさんになんかしちゃいました?」
「え?あ、いや。な、なんだお兄ちゃんと来てたのか。あはは、じゃあ、俺はこれで…」
「はーい、どーもー」
仲間でも連れてたら厄介だと思ったけど、案外瞬殺できてよかった。
なんてホッとしている場合ではない。
オレは肩を小刻みに震わせ、しゃがみかんでしまったシロに声をかける。
「シロ、もう大丈夫だから」
「…はい」
声まで震えてると思ったら、ぎゅっと唇を結んでいた。
泣くの、我慢してんだな。
泣いたらオレを困らせるから。
たぶん、その思考で合ってる。
泣こうが泣くまいが
もうここにきている時点で
オレの頭ん中は
シロでいっぱいなんだけど。
どう責任を取ってくれるつもりなんだか。
このペットみたいな後輩は。
「足、まだ痛いんでしょ?」
「…ごめんなさい」
「何が」
「先輩に迷惑かけちゃって。この前も今も余計な事ばかりして…。こんなこと…ために……いのに」
最後のほうは周りがうるさいのに反比例してデクレシェンドしたから聞き取れなかったけど、どうせオレへの謝罪だろう。
そんな後ろめたい気持ちをもたせるためにここにいるんじゃないし。
でも、引き金引いたのはオレか。
シロの好意を勝手にネガティブにとらえて歪めてポイって簡単に捨てた。
なら、まずは謝んなきゃな。
オレはしゃがみこんだ。
「シロ、もっかい聞くけど、足、痛い?」
「だいじょ…」
「嘘。へたくそな嘘ならつかなくていいから。顔に出てる」
「…わかりました。なら、嘘はつきません。…足痛くて、うまく、歩けないので、その…」
オレは背を向けた。
今まで運動部に入ってた経験なんてないし、最近は勉強ばっかで体力が落ちてて正直自分でも運びきれるか未知数だけど、
こんくらいの荷物なら、引き受けるよ。
「あの」
「つべこべいわないで早く乗って」
「あ、いや、あの…そうじゃなくて。えっと、も、もしかして初めてですか?」
「は?」
大衆が見てて顔から火が出そうなくらい恥ずかしいから一刻も早くここから立ち去りたいってのに、この期に及んで何を言ってるんだ?
「だ、誰かを、背中に乗せるのは、は、初めて、でしょうか?」
「だったら何?」
こんな経験人生で何度もあってたまるかって。
「…嬉しいです。けがの功名、です」
「分かったから、ほら、早く」
「はい…!」
足が痛いなんてのは嘘なのかと思えるほど勢いよく体重をかけられた。
よいしょっと。
ま、こんくらい余裕。
シロが小柄で助かったわ。
「んじゃ、家まで送り届けるから道案内して」
「あ、はい」



