こっちを、むいて。

家に向かいながら、星が瞬く夜空を見上げ、ふと思い出す。

普段は厳重に鍵をかけ、心の奥底にしまって開かないようにしているそれにそっと触れてみる。

今日も彼女はオレの姉の店で変わらずバイトをしていて

誰かのためにクレープを作ってる。

鈍感で素直で見ていて飽きることのなかった彼女を

今でもまだ…好きなままで。

彼女にはカレシがいて、

その人はオレより何倍も頭が良くて

ギターもうまくて、

正直勝てるところなんて

1つも、ない。

だから今はこうしてなんもしないで

傍観しているふりをしてるけど、

これまでの人生でしてこなかった努力ってやつを

死ぬ気でやって

そして、

やっぱりオレが

一番近くにいて

隣で弾いて

隣で笑わせたい。

そう、思っちゃうのは

バカ、なんだろうな。

いい加減諦めろとも思うけど、

平沢さんの後輩みたいに

世界のどこかでは

誰かの幸せを願って

そのために泥臭く努力してるやつもいるんだからさ、

オレもたまには

内側から熱を放ってもいいかなって

そう、思わせて。


「はぁ…いつまで続くんだろ」


この、気持ち。

心の終着点は見えないまま、帰るべき場所へと帰ってきてしまったのだった。