大正初恋浪漫譚ー突然、陸軍少尉の婚約者になりましたが、どうやら彼は私に恋をしていたようですー


「だったら、もう少しお話ししてみたらいいじゃない。結婚するかどうかは、そのあとに考えたっていいでしょう?」

「そんな簡単なことではないわ」

「もちろん、簡単ではないわ。でも、小春。縁談を受けることと、誰かに自分の気持ちを決めてもらうことは、同じではないと思うの」


その言葉に、私は顔を上げた。


「自分で考えて、自分で決める。それなら、小春がずっと望んでいたことに近いんじゃない?」


自分で考えて、自分で決める。

その言葉が、胸の中にゆっくりと染み込んでいく。


そうだ。

私は、縁談そのものを拒みたいわけではないのかもしれない。

ただ、私の気持ちを置き去りにして、すべてが決まってしまうことが嫌だったのだ。


ならば。

私自身が、あの方を知りたいと思ったのなら。

私自身が、この縁談を受けたいと思えたのなら。


それは、私が自分で選んだ未来になるのではないだろうか。

でも、そう思えるのには時間がかかるかもしれないと、小春は思った。