麻友子は茶化すことなく、静かに私の話を聞いてくれている。
「でもね……少尉は、思っていたような方ではなかったの」
「思っていたような方ではなかった?」
「もっと偉そうで堅苦しい方かと思っていたのよ。伯爵家のご子息で、軍人でいらっしゃるでしょう? けれど、ばあやにも優しくしてくださって……」
そこまで話して、私は口をつぐんだ。
なんだか、少尉を褒めているみたいではないか。
麻友子は、そんな私の顔をじっと見つめてから、ふふっと笑った。
「小春は、その少尉のことを、もっと知りたいのね」
「そ、それは……!」
言い返そうとしたものの、言葉が続かない。
違う、と否定できなかった。
「……そうなのかもしれない」
小さく認めると、麻友子は嬉しそうに目を細めた。
