「……もう! どうして、あの方のことばかり考えてしまうの!」
机に向かっていた私は、思わず声を上げた。
これではまるで、
少尉に恋をしているみたいではないか。
……いやいや、そんなはずはない。
私はまだ、あの方のことをほとんど知らないのだから。
そもそも、私が納得できないのは、結婚相手を自分で選ぶこともできず、父に決められた縁談を受け入れなければならないということだ。
私は、誰かの言いなりになるために生きているのではない。
いつか好きな人と出会い、自分の意思でその人を選びたい。
そう願っていたはずなのに。
――では、少尉のことを、私はどう思っているのだろう。
嫌いではない。
むしろ、もっと知ってみたいと思う。
けれど、それだけで結婚を決めてしまっていいのだろうか。
