目を閉じると突如目の前に広大な自然が広がった。羊や山羊などがいる。俺はいったいどこにいるんだ。俺はあたりを見渡した。目覚えない景色だ。
後ろに気配を感じた。振り返るとカツラがずれかかっていて、よれよれの服を着ている背の小さい胡散臭そうなじいさんがこちらを見て立っていた。
俺と目があうなり、話しかけてきた。
「萩原君だね。」
なぜ俺の名前を知っているだ。このじいさん。
「なぜ知ってるんですか。」
俺は問い返した。猫だから「ニャー」としか言えないはずなのに。
なぜか俺は人間の声を出すことができた。
「なぜ知っているかって?吾輩は神様だからだ。それと今君が疑問に感じていることにもお答えしよう。神の力で私と話す時だけ人間の声に戻したんだよ。」
自称神様ときた。見かけ通り胡散臭い。面倒な奴に絡まれてしまったようだ。なんてついてない日だ。でも俺がなぜしゃべれるようになったかきいてないのに答えやがったからあながちほんとに神様なのかもしれない。そうだと説明もつく。いやこんな見るからに胡散臭そうなじいさんが神様なんて、まさか。
自称神様は続けて
「君に話さないといけないことがある。君を元の人間の体に戻す方法だ。」
と真剣な眼差しで俺に言った。
どうやらこの神様は俺がもともと猫ではなく人間なのに猫になってしまったことを知っているらしい。事情を説明しなくてもいいのは手間が省けて助かる。
それに俺が知りたかった情報を持っている人が向こうからやってきてくれるなんて。ついてないっていう考えは撤回することにしよう。
「教えてください。俺戻りたいんです。猫の体じゃやれることも限られてて何かと不便なんです。」
「よかろう。君にはミッションに挑んでもらう。その内容は美雪さんの行方不明になった猫を探すことだ。」
やっぱり俺の見立て通り美雪さんは飼い猫がいなくなっていたんだ。
俺は
「美雪さんの部屋にあった写真の白猫ですか。」
と尋ねた。
「ああ、そうだ。その猫だ。」
「その猫は俺が居酒屋で見た猫と同じですか。」
「同じだよ。」
通りで似ていたわけだ。
「ミッションはその白猫を見つけ出して、美雪さんの元につれていくまでだけど引き受けてくれるかい。ミッションを無事に完了したら君は元の人間の姿に戻る。」
「もしミッションをクリアできなかったらどうなるんですか。」
「君は一生黒猫のままだ。」
一生猫なんて嫌だ。引き受けるしかない。でも、もし俺が人間に戻ったら美雪さんと一緒に住めなくなるじゃないか。猫のままだと美雪さんに告白できないし。彼氏らしき人がいるから人間に戻っても付き合うなんてできないのか。ならこのまま猫の状態で美雪さんとずっと一緒に暮らせた方が幸せかな。
人間に戻りたかったはずなのに俺の心は揺れた。
「どうやら迷っているようだな。30秒やる。その間にどうするか決めてくれ。」
自称神様に決断を急かされた。
そういえば俺、泣いている美雪さんを見て何かしてあげたいって思ったんだよな。
できればその涙を止めたいって。これは絶好のチャンスではないか。
クリアすれば人間に戻れるわけだし。これは美雪さんのためでもあるし、俺のためでもある。俺は自分自身を納得させてから
「引き受けます。」
と答えた。
自称神様は
「よし。頑張りたまえ。詳しい白猫の情報は美雪さん自身からききなさい。美雪さんはね。飼い猫とだけはお話できる人なんだ。私なんかより飼い主の方が詳しいのだし、直説話をきいた方がよかろう。」
と言った。
美雪さんは猫と話せるのか。これまた有益な情報をくれた。やるじゃないか。このじいさん。
「きいてみることにします。ありがとうございます。」
と言って俺は頭を下げた。
「健闘を祈る。ではさらば。」
と言って自称神様は俺の前から姿を消した。
しばらくすると俺は目が覚めた。あれは夢だったのか。なら嘘なんじゃ。不安を感じた。でもあの話が本当ならやってみるしかない。ミッションに挑む約束をしてしまったわけだし、嘘と疑って行動しないより、とにかく動いて自分のこの先の一生猫のままかもしれないという不安を払拭したかった。
後ろに気配を感じた。振り返るとカツラがずれかかっていて、よれよれの服を着ている背の小さい胡散臭そうなじいさんがこちらを見て立っていた。
俺と目があうなり、話しかけてきた。
「萩原君だね。」
なぜ俺の名前を知っているだ。このじいさん。
「なぜ知ってるんですか。」
俺は問い返した。猫だから「ニャー」としか言えないはずなのに。
なぜか俺は人間の声を出すことができた。
「なぜ知っているかって?吾輩は神様だからだ。それと今君が疑問に感じていることにもお答えしよう。神の力で私と話す時だけ人間の声に戻したんだよ。」
自称神様ときた。見かけ通り胡散臭い。面倒な奴に絡まれてしまったようだ。なんてついてない日だ。でも俺がなぜしゃべれるようになったかきいてないのに答えやがったからあながちほんとに神様なのかもしれない。そうだと説明もつく。いやこんな見るからに胡散臭そうなじいさんが神様なんて、まさか。
自称神様は続けて
「君に話さないといけないことがある。君を元の人間の体に戻す方法だ。」
と真剣な眼差しで俺に言った。
どうやらこの神様は俺がもともと猫ではなく人間なのに猫になってしまったことを知っているらしい。事情を説明しなくてもいいのは手間が省けて助かる。
それに俺が知りたかった情報を持っている人が向こうからやってきてくれるなんて。ついてないっていう考えは撤回することにしよう。
「教えてください。俺戻りたいんです。猫の体じゃやれることも限られてて何かと不便なんです。」
「よかろう。君にはミッションに挑んでもらう。その内容は美雪さんの行方不明になった猫を探すことだ。」
やっぱり俺の見立て通り美雪さんは飼い猫がいなくなっていたんだ。
俺は
「美雪さんの部屋にあった写真の白猫ですか。」
と尋ねた。
「ああ、そうだ。その猫だ。」
「その猫は俺が居酒屋で見た猫と同じですか。」
「同じだよ。」
通りで似ていたわけだ。
「ミッションはその白猫を見つけ出して、美雪さんの元につれていくまでだけど引き受けてくれるかい。ミッションを無事に完了したら君は元の人間の姿に戻る。」
「もしミッションをクリアできなかったらどうなるんですか。」
「君は一生黒猫のままだ。」
一生猫なんて嫌だ。引き受けるしかない。でも、もし俺が人間に戻ったら美雪さんと一緒に住めなくなるじゃないか。猫のままだと美雪さんに告白できないし。彼氏らしき人がいるから人間に戻っても付き合うなんてできないのか。ならこのまま猫の状態で美雪さんとずっと一緒に暮らせた方が幸せかな。
人間に戻りたかったはずなのに俺の心は揺れた。
「どうやら迷っているようだな。30秒やる。その間にどうするか決めてくれ。」
自称神様に決断を急かされた。
そういえば俺、泣いている美雪さんを見て何かしてあげたいって思ったんだよな。
できればその涙を止めたいって。これは絶好のチャンスではないか。
クリアすれば人間に戻れるわけだし。これは美雪さんのためでもあるし、俺のためでもある。俺は自分自身を納得させてから
「引き受けます。」
と答えた。
自称神様は
「よし。頑張りたまえ。詳しい白猫の情報は美雪さん自身からききなさい。美雪さんはね。飼い猫とだけはお話できる人なんだ。私なんかより飼い主の方が詳しいのだし、直説話をきいた方がよかろう。」
と言った。
美雪さんは猫と話せるのか。これまた有益な情報をくれた。やるじゃないか。このじいさん。
「きいてみることにします。ありがとうございます。」
と言って俺は頭を下げた。
「健闘を祈る。ではさらば。」
と言って自称神様は俺の前から姿を消した。
しばらくすると俺は目が覚めた。あれは夢だったのか。なら嘘なんじゃ。不安を感じた。でもあの話が本当ならやってみるしかない。ミッションに挑む約束をしてしまったわけだし、嘘と疑って行動しないより、とにかく動いて自分のこの先の一生猫のままかもしれないという不安を払拭したかった。
