ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

手にしたスタンドミラーをガタリと音を立てて調理台の上に戻し、わざとらしく両手を腰に当てる。

「な、何よ、じっと見つめてきちゃって! 言っとくけど、プロデューサーとしてのウチの指導料は高いんだからね!」

早口で捲し立て、必死に赤くなった頬を隠そうとする夏凜。

けれど、椅子から立ち上がった海斗は、そんな強がりを気にする風でもなく、自らの逞しい手のひらを見つめた。


肘下まで捲り上げられたシャツの袖、綺麗に立ち上がった前髪、そして第二ボタンを開けた首元の涼しさ。鏡に映っていた自分は、卑屈で無様な姿など微塵も残していなかった。


海斗はもう一度、夏凜の正面へと歩み寄った。


その歩き方すら、背筋が自然と伸び、さっきまでの猫背が嘘のように堂々としている。