ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

家庭科室の窓ガラスを赤く染め上げていた夕日が、深い紫色のグラデーションへと移り変わっていく。

夏凜は手元の小さな丸型ケースの蓋を、パチンと小気味よい音を立てて開けた。

指先にすくい取ったのは、ツヤを抑えたマットクレイタイプのヘアワックス。

手のひらを擦り合わせ、体温でしっかりと伸ばしていくと、微かに爽やかなシトラスの香りが立ち込めた。


「ちょっと、海斗。パイプ椅子に座って。背筋は伸ばしたまま、顎を少し引いて」

「あ、ああ……」

指示されるがままに腰を下ろした海斗は、緊張のあまり両手を太ももの上に置いて強張らせていた。

夏凜はその正面に立ち、至近距離から海斗を見下ろす。