ファーストキスのプロデュース 〜昔フラれた幼なじみを最高の彼氏に育てる方法〜

「俺はただ、水泳が好きで……必死に練習してただけだった。でも、俺の体格や肌の色、目つきは、人を怖がらせて、不快にさせるだけだったんだよ。肩の怪我で選手コースから外された時、ホッとした自分すらいた」



海斗は力なく視線を落とし、ダボついたブレザーの袖を引っ張って、自らの頑丈な手首を覆い隠した。


「中二でこっちに戻ってきた時、決めたんだ。もう誰にも怖がられないように、誰の邪魔にもならないようにしようって。前髪を伸ばして、メガネをかけて、背中を丸めてれば……誰も俺に怯えないし、雑用を押し付けられて笑われてる方が、ずっと平和なんだ」



日陰に潜んでいたのは、弱さからではない。


傷つき、自信をへし折られ、これ以上自分を傷つけないために自ら選んだ、孤独な防衛線だったのだ。


小5の夏、太陽を一身に浴びてキラキラと輝いていた初恋のヒーローが、暗闇の中で一人きり震えていた。


その残酷な真実に、夏凜の胸は引き裂かれそうなほどの痛みを覚えた。